シングルボーイ下位時代

しょっぱいドルヲタが細々と喋ります

感想日記「百円の恋」

お久!&遅めのあけおめ。太田です。

今日は趣向を変えて最近見た映画の感想日記なんぞ展開してみようと思うんで、

時間のある方は付いてきていただけたらこれ幸いでございます。

「百円の恋」

元々、主演の安藤サクラに関しては、

僕がばっさーにハマって新・ショムニ見てた時に「随分雰囲気のある役者さんだなー」と薄っすら気になってたぐらいの印象しかなかった。

見た目で人を判断するのは良くないが、「インドア派」・「日光嫌い」・「運動苦手」みたいなプロフィールが似合いそうな印象を抱かせる彼女。

しかし、この映画の予告篇を見た時にその印象は見事に覆される。

この映画の一番の見どころともいえる安藤サクラのボクシングシーンは、

当然の如くすべて本人が演じているものだし、

その完成度も「一端の役者がボクシングやってみました」レベルのものでは断じてない。

特段目を見張るような過激な序破急を見せない脚本において、

ただ淡々と映し出される彼女の練習シーンに気付けば釘づけになっている。

役的には、彼女の演じる主人公・一子は決して感情を表に出すタイプの人物ではなく、

長年の半引きこもり生活によって形成されたコミュ障ゆえの無口っぷりは見ていてとても歯がゆい。

だが、そんな彼女だからこそ、無言でただひたすらにミットを打つ音が次第に強くなっていく様に引き込まれる。

まるで今まで失っていた情熱や自尊心を取り戻して、少しずつ意思が強くなっていくように、

縄跳びは素早く小さく、

ミット打ちは鋭くリズミカルに、

ランニングは量が増えフォームも良くなり、

シャドーはより実戦的に見えてくる。

いわゆる「ボーイズ・オン・ザ・ラン」でいうところの、

「カポエラ使いの松田龍平」的な分かりやすい敵キャラは存在しないものの、

引退間際のボクサー狩野との出会いによって火が付いた一子は、

自分の明確な目的も分からぬまま一心不乱に奔走する。

その姿に意図せず周囲が巻き込まれ、期待し、自分を重ね、声を上げる。

前半の怠惰な雰囲気が嘘のように、中盤~後半の血が沸騰するような熱量が美しい。

全編通して様々な「痛み」を描いているこの作品は、上質な泥臭さを提供しながらそれを自賛も卑下もしないし否定も肯定もしない。

気付くとクリープハイプの主題歌と共にエンドロールが流れだし、置いて行かれるような不思議な清々しさとともに映画が終わる。

「百八円の恋」の冒頭歌詞にもある通り、この映画はそこで唐突に終わる。

登場人物たちのその後など当然なく、

むしろ「これを見た客のその後の日常は、こんな痛い映画にならないよう、

普通の毎日であったほうがいい」と激励とも皮肉とも取れる内容を手土産に僕等は日常へと送り返される。

陳腐な言葉でまとめるようだが、良い映画だった。

なにかを頑張る情熱が欠けてしまっている人にはぜひオススメしたい一本だった。

PS、今世紀史上最高に笑える「マジっすかw」に注目してほしいw