ちょいとハロヲタの話を聞いてくれないか?

「先駆け」とは、

文字通り戦において誰よりも先に敵陣へ飛び込み、

隊列を乱し、鬨を上げ、後に続く味方へ活路を示す者を言う。

まだ鉄砲が本格的に戦場に導入されるより前、

時としてその存在は、単騎で戦を決めてしまうほどに強大なものであったという。

さて、時は変わって2015年。

流行に便乗しようとする、いわゆる「後追い」の淘汰を以て、

良くも悪くも「ブーム」が終焉を迎え、

残った猛者たちが歌い踊る姿がある種「日常」となったジャパニーズアイドル。

その中にあって、新世代の台頭を尻目に、長年に渡り辛酸を嘗めさせられてきた老舗の存在がある。

そう。ご存知「ハロー!プロジェクト」である。

「質」こそが最も尊いとされた好景気下から十数年、

「物量」「身近さ」「拙さ」といった不景気下でこそ輝く要素を武器に突如現れた制服の集団によって

かつて永遠とも思えたハロプロのトップアイドルとしての覇権が奪われたのは記憶に新しい。

それから数年。

臥薪嘗胆の思いで冬の時代を耐えてきたハロープロジェクト

旗艦であるモーニング娘。(※現在はモーニング娘。15)

は昨年末、アイドル史に残るあのレジェンドの卒業を機に、

いわゆる黄金期を経験したメンバー全員が最前線を去り、良くも悪くもまったく新しいグループへと生まれ変わった。

しかし、AKB全盛のこの数年間でメディア露出が極端に減少したことから、

一般層の「モー娘。の名前は知ってるけど、メンバーの顔と名前は一人も分からない」という認識は固定化。

グループ名は一人歩きを始め、皮肉にもかつて伝説を築いた過去のメンバーの存在こそが最大の壁となり目前に立ちふさがった。

加えて、

卒業・加入を基本構造に据える娘。の裏で、

ハロープロジェクトの実質的な世界軸の役を担ってきたBerryz工房

メンバーもほとんど変わらぬまま、気付けば小学校低学年から成人を超えて休むことなく走り抜けた彼女たち。

そんなハロプロ界、ひいてはアイドル界の巨星が去年、

くしくも11年前のデビュー記念日と同じ3月3日を以ての活動休止を発表し、アイドルファンの間に激震が走った。

加えて、ハロプロの誕生から今まで、無数の曲を書き時代を彩った名プロデューサー、つんく♂喉頭ガンの為病床に付し、

作曲どころか公の場に姿をみせることもできないような状態である。

こうして、実力ある古参メンバーのこぞっての卒業、

及び、歴戦の名将の不在はファンを不安の淵へと追い込んだ。

「このままハロプロは終わってしまうんじゃないか?」

思いが強い者ほど、そんな心配が脳裏によぎる。

しかし、こうした中迎えた2015年初月。

前述の負の空気を一瞬で消し去ったグループがいる。

それが、『アンジュルム』である。

これまた激動の昨年末において、

二度目のメンバー増員と、それに伴い既存のユニット名「スマイレージ」からの改名を発表したのがこのグループである。

このスマイレージ

は元々、AKB全盛の最中でモー娘。が路線の差別化を図り、従来の「ポップでカワイイ」という雰囲気から、

「大人でカッコイイ」という見せ方へとシフトチェンジしていった結果、

その「カワイイ」路線を引き継ぐようにして生まれたユニットである。

しかし現代の若者のように、

いわゆる「冬の時代」に生を受けたユニットの行く先が常に茨の道であったことは想像に難くない。

邪推かもしれないが、娘。の再編までの時間稼ぎ、話題づくりの為に事務所が作った人柱ではないか?とも思われた彼女たち。

しかし、そうして常に逆風の中を進んできたスマイレージは、

脱退、加入を繰り返し、

昨年にはようやく待望の武道館公演を成功させ、

泥臭いながらも見事にユニットとしての第一章を華々しく締めくくった。

そんな彼女たちのアンジュルムとしての第一歩となるシングル「大器晩成」。

コンポーザーにつんく♂とも交友の深い実力派シンガー、中島卓偉を迎え、

「新ユニット名」

「新メンバー体制」

「新・制作陣」で迎えるまさに変革の幕開けともいえるこの曲。

ここ数年主流だった、最大公約数的な商業音楽の連続に疲れきった耳に、

小気味よく跳ね回るベースラインがまっすぐに飛び込んでくる。

A-B-A-B-A-C-Aというシンプルな構成によりグルービーなサビが際立ち、気付けば病みつきになっている。

唯一の転調箇所、ラスサビ前のCメロでは、初代メンバーかつリーダーの和田彩花から新メンバーの室田瑞希への見事なブリッジがあり、

温故知新という日本の様式美、変わる勇気と変わらぬ強さとを全面に押し示す。

更に、この曲は既に「めちゃイケ」のエンディングタイアップも決まっており、

アイドルファン以外の一般層の耳にも広く届くことが期待できる。

加えて、

両A面に当たる「乙女の逆襲」(※冒頭3分にMV short,ver)

は、あえて大器晩成とはまったく違った毛色の曲調を示すことにより、

ユニットとしてのパフォーマンス幅の広さを訴える。

今までの経験が形成した多芸ぶりを如何なく発揮し、

コミカルかつホラーチックなメロディーと、

安易に横文字に逃げず、ちょっぴり棘のある言葉で不遇だった自分達の過去と未來とを皮肉と暗喩たっぷりに滔々と歌う。

大器晩成が直球勝負なら、乙女の逆襲はトリッキーという言葉が良く似合う。

しかしここで今一度考えてみよう。

当然ながら、アイドルに感心がない人の足を止めるというのは、並大抵のことではない。

それでも今のアンジュルムなら、

この2曲なら、何かを変えてくれるのではないか、という根拠のない期待が収まらないのも事実。

ハロプロ的には本年初シングルとなるこの「大器晩成/乙女の逆襲」が、

2015年のアンジュルム、ひいてはハロプロの快進撃の猛き先駈けとならんことを祈りつつ、

これを読んでくれた非アイドルヲタの方々に、

『「あのメンバーかわいい!」

でも、

「曲が好き!」

でも、

「テレビで見てなんか気になる」

でも、形はなんでもいいので応援してあげてください』とお願いするばかりだ。

ここまで偉そうに知った口をきく馬鹿に付き合ってくれてありがとう。

貴方の生活に潤いと駄文を。太田でした。