シングルボーイ下位時代

しょっぱいドルヲタが細々と喋ります

読むドルヲタ落語「饅頭こわい」

出囃子(overture)

(拍手)

え~、近頃よく、

足りないオツムなりに、無駄に考えるんですけれどもね、

思うに、「物の価値」なんてものは、

見る人の解釈によって、

様々に、その大小・姿形を変える…

ま~、極めて曖昧なものですな。

え~、たとえば、

台風の直撃を受けて、一晩にして傷だらけ、

「もうこれは売りものにならないや」

なんて、

一度は諦められたリンゴも、

「強風に煽られても木から落ちなかった」事から転じて、

受験のお守りとして大繁盛。…なんて事も、

世の中には実際に起こっているわけです。

だからネ、

これを読んでいる紳士淑女の皆さんも、

その有り余るイマジネーションでもって、

どうかこの馬面亭下腹(ウマヅラテイゲバラ)の、

眉目、背丈、頭脳、声色、肉体、稼ぎに、アレの大きさに至るまで、

その解釈でもって、存分に過大に描いて欲しいのものです。

まぁ、実際の私はというと、

いま皆さんが想像した800倍はイイ男なんですけれども、

いかんせん、このブログでそれを証明する手立てがない。

なのでここはひとつ、

男性の皆さんは有り余る嫉妬を、

女性の皆さんは週の始めの劣情を、

それこそ思い思いに、

文字通りこの下腹の腹の下へと、

想像で注いで頂きたいものですネ。

さて、

話を元に戻しますと、

人間が物事を理解しようとする時、

そこには必ず「解釈」というものが付きまといます。

同じ道理で、

人間が人間を理解しようとする時、

そこには必ず、

「肩書」というものが付きまといます。

近頃で言いますと、

「サーフィン好きのボンボン」を「ハイパーメディアクリエイター」と言ってみたり、

「在庫処分セット」を「福袋」、

「単なるヤ〇マン」を「恋愛体質」、

「2、3人の好都合なインタビュー」を「世論の声」、

「色味で攻め過ぎたブス」を「個性派ファッションリーダー」、

坂本一生」を「新加勢大周」と言ってみたりするのです。

それこそ「人妻」を、「団地妻」と言い変えたりするのは、

とりわけ趣があって、私個人としては嫌いじゃアないんですが、

世に蔓延る大概の肩書は、

大抵は、望むイメージが先に来て、

後れを取った実像が、

それにぶら下がるような構図になってるものでございます。

近頃、

それが特に顕著な分野の一つに、

『アイドル』という区分がございます。

ただどちらかといえば、

厄介なのは寧ろアイドル本人たちよりも、

それを応援する男たちなんでございます。

え~、しかし、

考えてみれば酷く悲しい話だとは思いませんか?

かつて、この国で闘った群雄割拠の侍たち。

史に見る雄々しさ・逞しさ、

野太い生き様、堅い意思。

それこそ、

「日本男児」を地で行くような、

男の中の男たち。

それがいまでは何ですか。

いつしか刀はサイになり、

掲げる御旗はマフラータオルへ、

叫びは鬨からMIXへ、

気付けば隊列は待機列となり、

命懸けの押し引きは金を賭けた推し贔屓に変わりました。

そりゃア当然、あの日のシャキッとした男たちなんてぇものは、

今ではドローンカメラを何台駆使して探し回ろうとも、

このチンケな島国には、人っ子一人見つかりません。

ただ一点のみ感心する事には、

彼らは非常に純粋だということにございます。

昔の人は言いました。

<雨にも萎えず

風にも萎えず

雪にも夏の暑さにも萎えぬ

屈強なメンタルを持ち、

欲があり

時折病むが

いつも密かに推している

(中略)

東に近場のリリイベあれば

行って無銭ではっちゃけ、

西に推しグループの単独あれば

行ってその物販を支え

南に他界寸前のヲタあれば

行って「推しは君を嫌ってないよ」といい

北に厄介やピンチケがあれば

ファンが減るからやめろといい

卒コンの時は涙を流し

握手の列はおろおろ歩き

みんなにKSDDと呼ばれ

推されもせず

干されもせず

そういうヲタに

わたしはなりたい >

なンて言葉も残ってるもンで、

とにかくアイドルを応援するような奴ぁ、

良くも悪くも馬鹿が多いんですナ。

中には意中の子と直接会えた感激からか、

帰りに寄った飲食店で、

泣きながら牛丼を喰らう奴なんてェのもいたってンだから驚きだ。

とにかく、

そんな純情野郎が活気付くこの流行はなぜここまで栄華を極めたかと申しますと、

そこには「好み」という、大きな概念の存在があります。

(あの子は好きだがこの子は刺さらん)

(この子は好きだがあの子は推せん)

そういった個々人の感情が、

時に合わさり、

時に摩擦を生み、

時に揺れ動くからこそ、

絶妙な人間模様を生み出すンでございましょう。

それこそ特に男なんてェものは、

自分の好みを世界に向けて発信することに、

言い得ぬ快感を覚える生き物であるからして、

まぁ、気の合うヲタク同士が卓を囲んだなら、

十中八九、延々と「あぁでもないこうでもない」と、

好みのアイドルの話に華を咲かせるものでございます。

「おうおうおう!今日は俺の誕生日だ!盛大に食っちゃ飲みしようじゃあねぇか!」

『なぁにを1人で騒いでやがるかと思えば…

いつもと変わらん場末の飲み屋で、

乾いたツマミと安酒越しにお前ェのツラなんぞ見てどう楽しめと…』

「細けぇことは言いっこなしだ!

酒なんてのは値段やツマミよりもよ、

誰とどんな話して飲むかが大事な訳よ!

そんなんも分からねぇとはお前さんも粋じゃないねェ、」

『えぇえぇ、頼んでもいない偉そうな講釈あんがとよ!

それで?そこまで言うならお前ェ、

お前ェの言う良い酒を飲める話ってのはどんなもんだい?』

「そりゃぁオメェ、好みのアイドルの話に決まってらぁよ!」

『なんだい、何を言いだすかと思ったら、結局いつもの推し自慢かい、』

「じゃかあしい!どれ、ならまずはお前ェの好きなモンについて聞こうじゃあねぇか。

オメェは最近どこのどいつが好きなんでぇ、」

『そりゃあオメェ、決まってるじゃあねぇか。

昨年末から今年にかけてツアー成功・新曲ヒット・お宝くじ優勝と立て続けに吉報の鐘を打ち鳴らし続け、

果てにはいよいよ待望のフルアルバム発売も決まった”WHY@DOLL”よ!』

「ははーん、なるほどね。

たしか北国から来た娘さん達だネ。

確かにこいつぁ純朴で大層気立てが良さそうだ」

『そうだろう、そうだろう!

なんてったってこの2人のスゲェ所は、

ただ愛らしくて舞台に秀でてるってだけじゃあねぇ!

客へのサービス精神が凄いのよ!

この前の生誕祭なんぞ最前のヲタに、

レジャーシート大の特大ラブレターを渡したってんだから驚きだ!』

(※参考画像)

「ふーん、なるほどネ。

しっかしこの大きさじゃあ持って帰るのが相当難儀だろうよ、

貰った奴ァ、相当運が良かったんだろうなぁ」

『ちなみにこの特大ラブレターを貰った奴は俺のヲタ友なんだがな、

昨年末はライブ終わりに、こことは違って大層美味い酒を飲み交わしたもんよ!』

「ほほぉ、こりゃ意外と世間は狭いねぇ。

オイ!

そこのお前ェはどうだい?

最近どんなアイドルが好きなんだ?」

【んん、オイラかい?

そりゃあもちろん、

我らが高知の星、”はちきんガールズ”に決まっとろうが】

「あー、たしか牛・豚・鶏から柚子に雨まで、

随分と色んなモンを歌ってるグループだったな。

なにやら最近”しょうるうむ?”なんつー、

電子台をつかった試みを始めたみたいだから、

これからなお一層応援してやんねぇとな!

んで、そちらさんは?」

[僕かい?

そうだなぁ~、ボクはやっぱり”バニラビーンズ”かな。]

「ほほぉそうきたか、しかし分からんでもないね!

たしか解散をかけた最新アルバムが来る2月3日に発売になる事で話題の、

執念のベテラン2人組だったな!

たしかにあの脇は堪らんものがあるもんなぁ、

ん~、しかし…」

『おう?いきなり黙りこくってどうしたよ?』

「自分で言っといてアレだがよぉ、

人の好きなモンをただ聞くってのも、

単に自慢聞かされてるようで退屈なモンだなぁ、」

『おいおいおい、

いきなりそれはネェだろうよ!

それならなにかい?

逆に”怖い”と思ってる子でも聞いてみるってのかい!?』

「おぉ!そいつぁなかなかの妙案だ!

誰だって上手く推せねぇアイドルの1人や2人くれぇいるもんだ、

それを聞いてあれやこれやとイジリ回す方がなにかと楽しそうってなもんじゃあねぇか!

どれどれ…

オイ!そこの太いあんちゃん!

あんちゃんは怖ぇアイドルってなぁいるか?」

<おいどんは…アイドルネッサンス南端まいなちゃんが怖いでごわす…>

「えぇ!?そりゃまたどうしてだい?」

<おいどんは子供の頃、野良猫に寄ってたかってイジメられてから、

この世の猫という猫が怖いんでごわす…

なのにあの子と来たら…隙あらばにゃあにゃあにゃあにゃあ待ってるにゃあと…

おかげでどんなにこよちゃんに会いたくても、

我慢して在宅ヲタに徹するしかないんでごわす…>

「ふーん、なるほどね。

しっかしそのナリでまさかこよ推しとはねぇ…

オイ!そこのメガネ!

お前はどうだい?

誰か怖ぇアイドルはいるかい?」

≪拙者は…その…

グループ名に”早朝”を冠し…

舶来の言葉を自在に話…≫

モーニング娘。16の野中美希ちゃんかい?」

≪(ビクッ…!!!!!!)≫

「どうやら当たりのようだねぇ、

して、理由は!?」

≪正直な話…拙者は背も小さく…

舶来人に対して日々劣等感を感じて生きている…

だからか無意識に舶来の要素を含む一切を、

この身から遠ざけるようになった…

しかしあの娘と来たら…

光井と組んで外国人向けの通販コーナーを立ち上げるだけに飽き足らず、

組織内で画策してとうとう丸々英語詞の新曲をこしらえた…

これじゃあ、いつ英語が耳に入るか怖くておちおちハロコンにも行けたもんじゃない…≫

「ほ-、なるほどね。

おい、そこの爺さん。

爺さんの怖いアイドルは誰だい?」

〚ワシは…

なんじゃったかのぉ…

随分怖い思いをしたはずなのに、

名前だけをすっかり忘れてしもうた…

たしか舞踊が上手くて休憩を取らない集団の…

前髪が真一文字の…〛

「はは~ん、さては東京パフォーマンスドールの橘二葉ちゃんだな」

「そうじゃそうじゃ、

わしがかつて通っておった剣道場の女師範が大層怖い人でのぉ…

何が怖いって、その長い前髪で眉が隠れて、

心の動きが一切よめないのじゃ、

それからというもの、

あのように真一文字の長い前髪を見ると、

道場でしごきに遭っていた地獄のような日々がよみがえるのじゃ…」

「ふーん、なるほどねぇ。

こいつぁ、聞けば聞くほど人の好みなんてぇものは、

理由も含めてバラバラなもんだねぇ」

『お、そういえば今日、アイツはどうした?』

「アイツ?」

『アイツったらアイツだよ!

こう、馬面で、言う事がいちいちしゃら臭くて、

毎回のようにライブの開場時間に遅刻して、

そんでなにより…

(俺は誰でも好きになれる!)と自信満々にのたまうアイツだよ』

「あぁ!はいはいアイツか!

随分と変わった奴で確か名前を…下腹とか言ったな!」

と、言った瞬間、何やら店の外から珍妙な雄叫びを発して迫りくる男が1人。

{あああああーー!!!!みんな可愛いーーーーーー!!!!!}

などという奇声の勢いもそのままに、

一気に店内の空席へと飛び込んだ。

「お、噂をすりゃあ影だ!

おうおうおう!お前ェたしか下腹っていったな!

ちょいとお前ェに聞きてえ事があるんだけどいいかい?」

すると男は、

なにやら握手会終わりなのか、

大事そうに右手をさすりながらゆっくり振り返る

{んん?なんだい?}

「今ちょうど、皆の怖ぇアイドルを1人ずつ聞いてたんだがよぉ、

なにやらお前ェさんにかかれば、

どんなアイドルも無理なく差別なく、

分け隔てなく推せるらしいじゃあねぇか?」

{あぁ、そうさ。

俺の解釈とプレゼンにかかれば、

どんなキワモノアイドルも一瞬で人気メンに飛躍して、

明日から握手会の待機列がブラジルまで続くってなもんでさぁ!}

「ほほぉ、大した自信だ!

どれ…それならいっちょ試してみるかな…

オイ下腹!お前、アイドルネッサンス南端まいなちゃんをどう思う?」

{あんなもんはブログとTwitter動画を延々と周回してから、

現場行って直接の(待ってるにゃあ🎵)を聞けば、

耳朶から入って脳に全身に魂に大気にと存分に萌えが広がっていく、

その過程を楽しめれば3秒で推せるね!

まったくちょろいもんさ。}

「ほぉ、こいつぁ個別握手にガチ緊張する著者とは違って随分流暢に喋りやがるじゃねぇか。

ならお前、モーニング娘。16の野中美希ちゃんをどう思う?」

{あんなもんはデビュー前のオーディション映像で、

散々芋臭い田舎娘の雰囲気を目に焼き付けてから

いざ12期が本格始動した後の八面六臂の大活躍と

カメラさんのテープチェンジが追いつかない確変に次ぐ確変を追っていれば

情報源がハロステしかない在宅だろうと2秒で好きになれるね。簡単に推せるさ。}

「はー、なるほどそう見るか!

こりゃ面白くなってきた、次だ!

東京パフォーマンスドールの橘二葉ちゃ…」

{推せる推せる、簡単に推せるさ!

よぉ、オメェら一度考えてもみろよ、

たった15、6で和歌山から単身東京にでてきて、

毎日の厳しいレッスンからくるプレッシャーと、

家族や故郷に甘えたいホームシックな感情とにいっぺんに襲われ、

それでも好きなダンスを諦めたくないと、

不器用な口を噤んで謙虚に努力を積み重ねるグループ最年少のいじらしさってのがお前ェらには見えねぇのかい?

それにあの前髪。

たしかに遠くからだと眉の動きが追えなくて感情が読めねェかもしれねェ。

だがよ、

あの子の眉は、握手しに近づいてみて初めて見えるものだからこそいいんだ。

それこそ外国で有名な(真実の口)じゃあねぇが、

触れてみて初めて分かる魅力だからこそ、

あの子の良さを理解する事に、

これ以上ない喜びが生まれるんじゃあねぇか!

えぇ、どうだい!?}

「おぉ…こいつぁたまげたな…

プロ野球選手との合コンで勝負をかける婚期ギリギリの女子アナくらい饒舌も饒舌、

もはや現代に蘇った弁士ってところだな、恐れ入った。

これだけの実力を見せられたんじゃあ、もうあの噂についても信じる他ねぇな、」

{んん?噂?なんでぇそれは?}

「いやね、

風の噂で聞いたところによると、

どうやらお前さんに推せないアイドル…つまり(怖いアイドル)はいないらしいと聞いてな、

いくら稀代のKSDDとはいえ、

接触で失敗したとか、

人生史に残るクソリプ送っちまったとか、

そういうトラウマも絡んで、

個人的に苦手で怖いアイドルの1人や2人くらいいるだろうと思ったんだが、

いやぁ、どうやらそいつぁ手前の了見違いだったらしい。

こいつぁ失礼した。いやぁ、参った参った!」

{い、いや…

本音を言うとな…

い…いるんだ…

1人だけ…}

今までの馬鹿のような明るさから一転、

下腹は周囲の人には聞えぬよう、

声を潜め目を伏せてこそこそとそう言った。

「え?ちょっと良く聞こえないんだが、

いまなんて言った?」

{これは…ここだけの話にしてほしいんだけどよぉ…

俺にもなぁ…

この世に1人だけ…

たった1人だけ…

怖くて推せねえアイドルがいるんだよ…}

「ほぉ!そりゃまた意外だな!!

して、そいつぁ一体誰なんだ!?

まさか、ここまで話しといてお預けってこたぁないだろう、

絶対に口外しないからよォ、

軽い気持ちでこう…スッと言ってみろよ、」

{…しもん}

「え?なんだって?」

{はし…ん…}

「えぇ?箸と指紋がなんだって?」

{だから…はしもんだよ…}

「あぁ、橋本愛奈か!

たしか去年改名した…そう、チャオベッラチンクエッティの!」

{うわぁぁぁああああ!!!デケェ声でその名前を呼ぶんじゃあねぇよ、

ビックリしちまったじゃあねぇか!!!}

「おう…すまんすまん、

それで、はしもんのどこが怖いんでぇ?」

{どこって…

あのハスキーな声…

爆弾すぎるボディライン…

海を挟んで隣の国にいたってはっきり聞こえるデケェ歌…

…ああぁああああ、なんか考えただけでまた怖くなってきちまったよ!!

すまんが俺はここらで失礼するわ、

なんか急に悪寒がしてきたから薬飲みに帰らねえと…じゃあなッ…!!!}

と、言うや否や下腹は一目散に店を出て韋駄天の如く走り去り、

ものの数秒足らずでその姿はすっかり見えなくなってしまった。

「ありゃりゃ…こいつぁ驚いたもんだねぇ…」

『ふい~出た出た…って、あれっ!下腹の奴ぁどうしたよ?』

「どうしたもこうしたもねぇよ、

お前ェがいつのまにか便所に行って随分長々と用足してるうちに、

自分で自分の怖いアイドルを口にしてビビッて帰っちまったよ」

『はぁ?天下のKSDDのアイツにまさか怖いアイドルなんているわけねぇだろぅ、』

「それが1人だけ居たんだよ、

はしもん…チャオベッラチンクエッティの橋本愛奈だよ」

『ほぉ~、そいつが本当だとしたらこれはスゲェ新事実だな!

ん~………はっ!!!

なぁよぉ、アイツに本当に怖いアイドルがいるかどうか、

この目で確かめてみねぇか?』

「いきなり何を言いだすかと思ったら…

だいたい、そんなんどうやって確かめるんでぇ!?」

『オイ、ちょっと耳貸せ!

それはだな…(ゴニョゴニョ』

「ははーん、なるほど!

そいつぁいい考えだ!!!

いっつもTLで都合のいいことばっか書いて、

自己演出に自己演出を重ねてるアイツのことだ、

今まで積み重ねてきたチンケなプライドが、

ただでさえ少ないフォロワー数ごと弾け飛ぶぞw」

と、こうして暇と退屈を持て余す2人は結託し、

協力して夜な夜な下腹の家へと忍び込んだ。

そして翌日、とあるリリースイベント会場。

〔皆さんこんにちは~!

チャオベッラチンクエッティで~す!!!〕

と、舞台袖から景気よく飛び出してきた4人を見て、

一気に活気付く観客席。

その後方、非優先エリアの中に2人の姿はあった。

「おお!久々に生で見たが、

やっぱりCBCのライブは距離感が近くて盛り上がるなぁ!」

『そうだなぁ!…って、なに普通の客みてぇなこと言ってやがる!

俺たちは今日、別にライブ見にきたわけでも、

握手しに来たわけでもねぇだろォよ、』

「おう…そ、そうだったな!

どれ…下腹の奴はどんな様子かな…?」

と言って2人が熱視線を送るのは舞台ではなくその手前、

優先エリア最前列にドカッと陣取っている、

何やら”怪しい物体”に対してだった。

「しっかしお前ェもよく考えたよなぁ、

まさか夜分に下腹の家屋に忍び込んで、

奴を寝たままライブ会場に運び込んじまおうなんて、

並大抵の頭で思いつくことじゃあねぇよ!」

『当ったりめェよ!

どれ…寝ながら飲ませた睡眠薬がそろそろ切れる頃合いだ、

意識が戻って目を開けた瞬間に、

世界で唯一怖いアイドルがすぐそこで歌い踊ってたら、

果たして天下のKSDDこと下腹はどうなっちまうのか…

この非優先エリアから、

じっくり見させてもらおうじゃあねぇか…クックック…』

そんな会話を終始悪い笑顔で交わす両名。

一方、優先エリア最前では、

(追いオリーブ)ならぬ(追いド〇エル)をキメられて熟睡している下腹が、

ロールキャベツ状に縛られた布団ごと、

器用に直立不動で佇んでいる。

上からはニョキっと顔だけが露出しており、、

両頬には、2人によって事前に個別握手券が数枚張り付けられていた。

これは頬に券を見つけたスタッフが、

身動きの取れない下腹を勝手に個別列に移動させるだろうという、

実に抜け目がない算段であった。

そんな渦巻く悪だくみもよそに、

いよいよライブを始めんとばかりに、

定位置へと付いた4人が音を待つ。

目の覚めるようなスカのビートが会場中に鳴り響く。

これにはさすがのロールキャベツもビックリして飛び起きる。

「お!いよいよ始まったぜ!」

『下腹は?下腹の野郎はどんな具合でぇ!?』

と、2人がまたも前方を見ると、

{…う、う~ん……

…え?

う…う…うわぁぁあああああああ!!!!!!!}

下腹の、まさに阿鼻叫喚の叫び声が

イントロ終わりの(Jump!!×8)の辺りで、ややかき消されながら響いた。

「おお!いいじゃねぇか!いいじゃねぇか!

そうでなくっちゃ困るってなもんだぜ!」

『あーあー、見てみろよあの滑稽な顔!

こいつぁ傑作だな!ガハハハハハハ!!

…………

………

……

…ん?』

しかしここであることに気付いた2人。

{あぁあああ怖いよぉおオォォォオオ……ウォイ!!ウォイ!!

ハイせーの…!ハーイ!ハーイ!ハイ!ハイ!ハイ!!

はーしもん!(熱気)

はーしもん!!(歓喜

はーしもん!!!(狂乱)

はーしもん!!!!(遺言)}

なんと渦中の下腹、

依然布団にまるごと巻かれたまま、

大興奮でコールを叫んでいる。

「…はぁっ!?

い、いったい何だってんだ!?

アイツたしかにはしもんが怖いって…」

『ち、ちっくしょう!なんだってんだ!?

俺ァ、悪い夢でも見てんのか!?』

「あ、あの野郎ッ!!

布団巻きにされたまま器用にヤングDAYSのトレインを繋げてやがるっ!!」

(※イメージ)

『そ、それだけじゃあねェ!!

(キャモン!)の肩組(※)も、

(永遠ファイヤーボール)のタオル回し(※)も、

新曲の一期一会ダンス(※)のフリコピまで完璧だ!!

…っていうかいつの間にか、

両腕を布団の外に出してやがるッ!!!』

「あぁっ!!

しかもそのまま悠然と握手会にも参加しやがった!!

し、しかも、個別ループまでしてやがる…ッ!!!!

な、なんで…

たしか奴ぁ、はしもんが怖いはずじゃあ…ッ!?」

『まだ分かんねぇのか!?

俺たちはアイツにハメられたんだよ、

見てみろ、はしもんと握手する奴の表情を!

(歌もダンスも上手くて人を生かしたツッコミまで完璧でめちゃくちゃ器用なのに時折見せる不器用さが最高にバランスの良いスパイスになってその人間臭さを際立たせながら情の厚さと懐の深さと人間の大きさと優しさと凛々しさと気高さと誇り高さと愛しさと切なさと心強さを感じさせるが為に男性女性問わず広く受け入れられる暖かい人柄がマメに更新してくれるブログ・Twitter・インスタ・wearを通してひしひしと伝わってくるようなとにかく自分なんかの語彙じゃ言葉にいい表せない深すぎる魅力を持つ貴女だからこそ何度生まれ変わろうともどこの誰より特別に一番にオンリーワン大好きです!)って顔してるだろアイツ!?』

「お、おう…

タッチのパロディだってことを忘れちまうような長文だな、

なにやら著者の感情がかなり入り込んでるみてぇだが、

とにかくあの野郎の胸倉掴んで一発言ってやらねぇと気がすまねぇ!!」

と言ってるうちに個別握手を終えてニッコニコの下腹が呑気にこちらへ歩いてきた。

2人は一気に距離を詰め、

幸せ溢れる布団巻きに向かって言い放った。

「おうおうおう!!

てめぇ、騙しやがったな!!!」

『よくも俺らの身銭でニギニギしやがって…

おい、お前ェ本当は何が怖いんだッ!?』

{そうさねぇ、

とりわけ現場終わりは…吉〇家の牛丼が怖い。}

【終】