読むドルヲタ落語「寿限無」

出囃子(overture)

(※寿限無のあらすじ

ある夫婦に子供が生まれてその子の名前をお寺の和尚さんにつけてもらおうと思いつきました。和尚さんにお目出たい名前をお願いしたところたくさんの言葉を教えてくれました。それを全部つなげて1つの名前にしてしまった。)

<文字数→約5000/読了目安→5~10分>

え~、

最近気になる言葉の一つに「キラキラネーム」なるものがございます。

なにやら聞くところによりますと、

やっとの思いで赤子をこしらえたはいいものの、

ちょいと個性にこだわり過ぎて、

一見さんにはまるで読めねえ珍妙な名前が。

…なんて事が、日本各地で日々起こっているということです。

簡単に例を出すと、

「黄熊」で「ぷう」

「七音」で「どれみ」

「宇宙」で「あーす」

「聖戦」で「じはーど」

…と、挙げれば枚挙に暇がございません。

まぁたしかに、

経緯はどうあれ、せっかく自分達のもとへ生まれてきてくれた赤子。

当然できるだけ幸せに育ってほしいものです。

…と、かくして思いが溢れだし、

空回った結果としてこのような地方のヤンキーが考えた当て字みたいな名前が生まれてしまう訳ですが…

え?なに?

そんな話、銀河系を代表する非モテのエリート部族ことアイドルヲタクには一切関わり合いがねぇだろって?

なぁにを仰いますか。

「求むな、さらば与えられん。」

いくらドルヲタといえど、ひょんなことからリアル結婚を果たす例もございます。

決して女ヲタヲタなんて野暮なマネをせずとも、

「好きな趣味に没頭している貴方の少年のような瞳が好き!」

なんて物好きな女も、この世には一定数存在しているわけでして。

そりゃあ男の方もドルヲタなんぞやってるくらいですから心は純粋、性根は純正。

CD積むのが忙しく、

博打なんぞ覚える暇なくここまできちまった奴が大半でございます。

更に年中推し変して浮気癖があるように見えましても、

一度身を固めたらそこは生粋の生真面目男、

握手やチェキはループすれども、

一線を超える過ちなど、犯す勇気もございません。

≪おい…おいアンタ!起きとくれよ!≫

「お?な、なんだ、もう晩飯か?」

≪なぁにを寝ぼけているんだよ!飯ならさっき食ったばかりだろう、

もう、しっかりしとくれよ!

それより、今日は何の日だとおもってるんだい?≫

「きょ、今日?あれ?どっかで熱めなリリイベとかあったっけ?」

≪勘弁してくれよ、結婚してもいつまでも現役バリバリの現場ヲタ気分でいられたらこっちもたまったもんじゃないよ、

今日は私たちの子供がやっと生まれてからちょうど七日目。

"お七夜"ってんで名前を付けるのに絶好の日じゃないの、

いつまでも"名無しのごんべ"じゃ困るでしょう!?≫

「あぁ…いわれてみればたしかにそうだったな

よし、じゃあとりあえず今は適当に"MIX打ち太郎"とでも名付けておけば…」

≪バカ言うんじゃないよ!

その子にとっちゃ一生背負うことになる名前だよ?

そんな各界隈で物議を醸しそうな名前付けられるもんかい!≫

「そ、そうかい?」

≪あったりまえだよ!

もうアンタのネーミングセンスの無さにはガッカリだよ。

考えてみればアンタ、語彙が少ないからブログもツイッターも吐く言葉がワンパターンだったもんねぇ、

それでよく握手レポなんぞやってたもんだよ≫

「う、うるせぇ!人のSNSに口出しするんじゃねぇやっ!

あぁ分かった分かった!

オメェは昔から俺のやる事なす事、接触、積み方、推しメン、推し箱…ぜんぶにイチャモンつけてきやがったからな!

どうせその子の名前だって、俺が出す案には耳も貸さないんだろ?

そうだ!そんなに俺のことが信用できないんならな、

ちょいと今から寺の和尚さまの所に行って縁起のいい名前をもらってきてやろうじゃねぇか」

≪ふ~ん、でも高貴な和尚さまがアンタなんかの相談に取り合ってくれるかねぇ?≫

「へん!俺様の人脈を嘗めんじゃねぇ!

ちっとばかし待っとけ!感動と興奮とエモさで見た瞬間ひっくり返るような名前を貰ってきてやる!」

≪ちゃんと晩飯までには帰るんだよ~ノシ≫

「うっせぇ!古臭ぇAAを使うんじゃねぇっ!」

かくして旦那、一目散に家を出た。

遥か先に居を構える幽玄な佇まいの由緒正しき寺目指し、

気になる現場も泣く泣く干して、

ボルトからっきょか韋駄天か、

メロスを追い越しひた走る。

\ドン!ドン!ドン!/

「おーい!和尚さまは居るかい?

おーい!開けてくれよぉ!おーい!」

\ドン!ドン!ドン!…カッ!/

『なんだぃこんな時間に騒々しい!

こっちが黙ってりゃ人んちの戸をナムコリズムゲームみたく好き勝手叩きおって!』

「お!和尚さま!久しぶりじゃねぇか!

オレだよ、オレ!下腹(ゲバラ)だよ!」

『おぉ、どこの遠征ピンチケかと思ったら下腹じゃないか!

実に久しいなぁ!

ま、立ち話もナンだ。お上がりなさいな。』

「いやぁ、突然悪いねぇ和尚さま」

『水臭いことを言うんじゃないよ、

TIFで一緒にスカイステージまで登り切った仲じゃないか』

「懐かしいねぇ、

あの日の絶景と推しレスを貰った和尚の笑顔ときたら、

生涯忘れたくても忘れらんねぇってなもんだ!」

『ふふ…みなまで言うでない、

おっと…ところで今日はどうした?

生写真を交換する約束でもしてたかの?』

「いや、今日はドル関係じゃないんだがね、

まぁ個人的なことで申し訳ないんだがよ、

この度子宝に恵まれまして、

どうか言葉に博識で縁起に詳しい和尚さまに、

やや子の名前を考えてほしいなと思い馳せ参じたってなワケでさぁ。」

『ほほぉ!お前さんに子供!

なんといやまぁ捨てる神あれば拾う神ありというか、

世も末というか、あえて産むタイプの新しい結婚詐欺疑惑というか。』

「…ずいぶんとまぁご挨拶だねぇ。

まぁ確かにガチ恋拗らせて

(〇〇ちゃんがオレを見てくれないならオレもう〇ぬ!!)

とか言ってた頃から考えたらあり得ない話だわな」

『そうだなぁ、

その様を近くで見てきた分、ワシも色々感慨深いってなもんだ!

どれ、ワシでよければいっちょ一肌脱いでやるとしよう』

「忍びねぇな」

『構わんよ。

ところで、子供ってな男の子かい?女の子かい?』

「ん~と、たしか女の子だったな!」

『"たしか"とは無責任だねぇ

まぁいい。

名を決めるにはそこに”どう育ってほしいか”っていう強い願いがなきゃいけねぇ。

どれ、お前さんはその子の育ちに何を願うんだい?』

「ん~、そうさねぇ…

生来無欲なもんでさしたる願いもねぇんだが強いて言うなら…

のように多彩な魅力があるといいな、

たとえば…

物事をコツコツ続けられる継続力と、

趣味を奥深く楽しむ豊かな感性、

時流に流されないよう適度な小生意気さもあって、

人から愛される丁度いいバカさも欲しい。

それに、

宝石のような瞳が映える世界標準の美しさ。

あとは、

のように強く頑丈な体と、

古の名将を思わせる慧眼、

更に、

人々を魅了できる舞踊の技術とそれを叶える体力

加えて、

愛する人を優しく包み込めるような包容力や、

揺るがぬ自分なりの哲学

あ、魔法のように誰もを笑顔にできるユーモアも捨てがたいな。

そして、

楽器を通して自己表現できるような音楽の才に、

苦手なことにも物怖じせず立ち向かっていく前向きさ

数値を通して世界を解き明かすような論理力。

最後に、

型や手法にとらわれない大胆で自由な表現力

まぁ、少ないようだが願いといえばこのくらいだな。」

『いや、充分多いと思うけどな…

まぁいい、じゃあ今から各願いに応じた名前の候補を教えてやろう

それをありったけメモに控えて持ち帰り、

あとでその中からどれにするかじっくり選んだらいいさ』

「たびたび忍びねぇな」

『構わんよ』

ってな訳で、

ひたすら願いに沿った名前を教える和尚と、

逐一逃さず書き取る下腹。

見る見る間に名前の候補が挙がってゆくと、

「これだけありゃ大丈夫だ」と手を打ち立ち上がり、

胸弾む想いで帰路についた。

改めて一人座して顎に手をやり、

書き溜めた名前を見ながらじっくりと考えを巡らせる。

「これもいいな…あ、こっちも捨てがたい!」

さて、

ここから先は大方皆さんも予想が付くかと思いますが、

この男、欲張りすぎて和尚に貰った名前を全部子供に付けちまった。

「お~い!和尚さま!

こないだは本当に助かったよ!」

『おぉ、下腹!

どうやら無事に名前は決まったようだな。

どれ、ちょうど気になっていたんだ。

なんという名になったかワシにも教えてくれよ』

「あぁ、その赤子なんだがな、

”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の東理紗の高井千帆の麗愛ちゃん”

…って名前に決まったよ!」

『………ちょっと長くないか?

ま、まぁワシが考えた名前を全部付けてくれたってのは嬉しいが、

ひとつ気になる事がある。』

「はて、なんでしょう?」

『お前の娘の…

ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の東理紗の

…の"東理沙"の部分だがな、

ワシはその名前は言ってないぞ』

「あぁ、ちょうど命名する日の朝食が卵かけご飯だったもんで!

あと生うどん面白いし!」

『あんな汚い言葉を使ったコントばっかりやるようなグループから名前を取るのはやめろ!

安易に気を衒っただけの色物にいつまでも惑わされるでない!

絶対に、

"ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の高井千帆の麗愛ちゃん"

…の方がいい!』

「黙って聞いてれば何を言いますか和尚さま!

生うどんは一見ただ若い女の子が汚い言葉を使って振り切ったコントをするだけの色物に見せておいて、

尺に合わせて計算された間、

客層に合わせてネタを変えられる柔軟性、

若き日のとんねるずを思わせるアグレッシブすぎる素人イジり、

最前管理委員会など即座に時事ネタをコントに織り込んで、ヲタクの意思を風刺として代弁してくれる器のデカさ、

それらを全てセルフプロデュースの名の下に、

なんの後ろ盾もなく自らが最前線で考えながら闘っているところに他では味わえない極上のカッコよさがあるんですよ!

丁度もうすぐ10月21日に東京ドームシティホールで開催される3rdワンマンライブも楽しみだしね!

だから名前は絶対に、

”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の東理紗の高井千帆の麗愛ちゃん”

…で決定です」

『いや途中から完全に著者の個人的な意見じゃないか!

さりげなく告知入ってるし!

しかし言葉を扱う身分としてワシは認めんぞ、

絶対に、

”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の高井千帆の麗愛ちゃん”

の方がイイに決まっている!』

「いーや、いくら和尚さまといえどもここは譲れないね!

名前は

”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の東理紗の高井千帆の麗愛ちゃん”

で決定だ!」

『いーや、”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの…』

「いや断然、”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に…」

『いやそこはあえて逆に…』

「はぁ…はぁ…まったくこれじゃラチが明かねぇ。

よし、こうなりゃ潔くツイッターのアンケート機能で決めよう!

って…えっ!?マジかッ!?」

『ど、どうした下腹?新情報か!?』

あんまり名前が長ぇんで、

新メンバーが来ちまった。

おあとがよろしいようで。

【終】