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【大阪】ババっと振り返るゲバラ初遠征日記【ほぼ画像】

4月14日(金)

レインメーカーばりの劇的な展開で業務に勝利したゲバラ

速攻帰宅してヲタクの準備して外出。

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さすがにいい歳なので、いくら初遠征だからといって特に浮かれるようなことはなく、スキップしながら百均で買い集めた遠征用グッズと、河合奈保子の「スマイル・フォー・ミー」を鼻歌で歌いながら調達してきたおやつ類及びその他さまざまな夢と希望と暇つぶしの詰まったバッグを抱えいざ出発。

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スマイル・フォー・ミー河合奈保子

最寄り駅につくと何やら自動改札で勝手が分からず困ってるおばさんがいた。

しかしそこはさすがに藤田まこと並の純情派を自称するゲバラ、速攻で声をかけ、なんやかんや助けることに成功。

 

おばさん「ご親切にありがとうねぇ。あら、あなたちょうど私の息子と同じくらいかしら。失礼だけどおいくつ?」

ゲバラ「2X歳です」

おばさん「あら息子より10も下だわゴメンなさいねあはははは」

ゲバラ「あははははは()」

 

情けは人の為ならず。

「満面の笑顔・感謝の言葉・老け顔ディス」という蛇足感の否めないバリューセットを美味しく頂いたところでおばさんと別れいざ電車へ。

 

スマホに落としておいた深夜ラジオを聞きながらこみ上げる笑いをギリギリの表情で耐え続けるという、傍目から見たら相当ヤバい奴として数十分の移動を完遂。

 

人生初となる深夜バスへ乗車するべく、東京駅周辺に降り立った。

 

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金曜の夜。

一週間の闘いを終えてほっと一息ついた表情のビジネスマン&ウーマンをかき分けるように逆行するバカ一人。

 

オシャレすぎる夜の街を中身パンパンのリュックを背にほぼトルネコのルックスで練り歩く。

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そしてとうとう深夜バス乗り場へ到着。

全く勝手が分からなかったが、なんとかおっかなびっくりで無事予約していたバスを発見。

同日に行われていたAIS定期に後ろ髪をむしり取られる思いで乗車する。

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かくして引きこもりの大冒険はテーブル上に溜まった水滴のせいで自然と滑るガラスのコップよりひっそりと幕を開けた。 

しかし夜はまだ始まったばかり。

とりあえず休憩がわりに「深夜高速」でもどうぞ。


深夜高速 / フラワーカンパニーズ

 

話を戻そう。

なんとかバスに乗車したゲバラ

てっきり乗車後1、2時間は談笑タイム的な和み時間が用意されているのかと思いきや、実際は発車直後に完全消灯となり「眠れ」オーラ全開の暗闇を作り出すストイックすぎる深夜バス。

 

てっきり隣の人とトランプかUNOくらいやるのかと思っていたゲバラ

せっかく買っておいたおやつも盗み食う隙すらないので、ビビりながら大人しく眠る体制に入る。

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しかしここで一つ問題が発生。

目の前の席に白人系の外人カップルがいた。

 

牡蛎と嫌な予感はだいたい当たるゲバラ

そもそも出発前アナウンスすら聞いてなかった爆喋りカップルの勢いは完全消灯後も止まらず、ノリで半端に開けたカーテンを閉めずに既に寝る体制に入っていた周囲に夜光の線をまき散らす始末。

 

その後も、暗闇の中でTwitterFacebookinstagramというSNS個人メドレーを見事に決め、ブルーライトの海をバカンス気分で泳ぎ続ける2人。

 

修学旅行の就寝時に「はやく寝なさい」と言ってバカ生徒たちの部屋を練り歩いていた先生の悲哀と優しさをこの歳にしてようやく実感する。

 でもやっぱりいくつになっても深夜にする恋バナは最高である(何の話だ)

 

とりあえずコイノシルシでも貼っときますね。


「神のみぞ知るセカイ」 コイノシルシ 6人Ver

 

 

4月15日(土)

てなわけで数度の休憩を挟み無事目的地である大阪に到着したゲバラ

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早朝の光に当てられ、長時間移動でバキバキになった腰をいわしながらバイオハザード調で見慣れぬ街を歩くトルネコ

 

事前に調べておいた漫画喫茶にチェックインし、「〇〇だね麗愛ちゃんルーティン(※自作FSK撮影)」をキめ、精神的に息を吹き返すことに成功。

 

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「無料だとありがたみを感じないのは飲み物も接触もいっしょだなー」とか考えながらぱぱっとシャワー&数時間仮眠を済ませ早めに外に出たゲバラ

 

実は夜のライブ前にどうしても行っておきたい所があったのだった。

 

それがこちら。

 

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知ってる人は知っている、アニメ「涼宮ハルヒ」シリーズの聖地こと、兵庫県西宮市。

ほんとは自分で比較とか作る方が丁寧なんだろうけど、いかんせん性格が雑なので他力本願寺にて失礼。(めっちゃ参考にさせてもらいましたありがとうございます)

聖地巡礼の旅 涼宮ハルヒの憂鬱編 西宮市

 

以下画像。

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あっちはかなり桜も残っていて、期せずして推しとのコントラストを堪能できた。

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「のちのブレイブメンロードだね麗愛ちゃん。」

 

こうして結構歩き、ようやく主人公のキョンが高校へ通う際に使っていた「甲陽園駅」に到着。

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引き続き、分かる人にはたまらない画像をお楽しみください

 

 

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ちなみにこれが高校前の坂道。

勾配が鬼。f:id:ChelGebara:20170416230900j:plain

実際に作中でも「強制ハイキングコース」と表現されてるだけあって、想像の何倍も長くてキツイ道だった。

 

深夜バスの疲労ですでに爆発しそうにパンパンだったふくらはぎで必死こいて歩くも地元の高校生たちにどんどん抜かされるゲバラ

 

しまいにゃおじいさんにも抜かされ街単位での健脚を疑う余地がなかった。

習慣化の強さを改めて知った。

 

こうして、学生時代のアニヲタ・声ヲタ、両方の入口として思い出深い「ハルヒ」シリーズの聖地を雑にだが回ることができた。

みのりん(※茅原実里)と同じ道を歩いたと思うと感慨もひとしおである。


劇場版『涼宮ハルヒの消失』テーマソング「優しい忘却」/茅原実里 PV

 

さぁ話をアニヲタからドルヲタに戻そう。

 

ちゅーわけで「目的も果たしたしよっしゃ東京帰るか!…ってライブや!!!」というコテコテのやつを決めふわっと梅田に舞い戻るゲバラ

 

そういえば今回の主目的を言ってなかったので、ここで改めて整理しておこう。

 


20170407 【Hauptharmonie und Tapferkeit Band】「Brass! Brass!! Brass!!!」リリイベ@タワレコ錦糸町

Hauptharmonie(ハウプトハルモニー)。

 

ちゃんと説明しようとすればひたすらに紹介できるんだけど、とりあえずそれはまたの機会があったらってことで!

 

とりあえず、ヲタクとDMキャンペーンやって炎上したり、ヲタクとベッドインチェキ会やって炎上したり、TIFでヲタクがリフトかまして怒られたり、Pとスタッフが歌舞伎町で一晩で20万溶かした上にその話を曲にしてしれっとアルバムに入れたり、メンバーの入れ替わり多すぎてCDの発売日にジャケットにもういないメンバーが写ってたりするけど曲とライブが最高なグループって覚えてくれたら嬉しいです。

 

これから間違いなく売れると思うので(来月に解散決まってるけど)皆さん要チェックでお願いします。

で、ここでの自分の推しの「ななみる」こと倉木七海さん(※ガチ恋敬称)の出身が大阪ってことで、「最後くらい地元凱旋見に行きたいなー」となり急遽この旅が決まりました。

 

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「そもそもなんで推したか~」みたいな話は気恥ずかしいし本旨と外れるのでここではしませんが、自慢の推しの一人であることは間違いないので、もし気になってくれた方は現場でもネットでもいいので、見れるうちに気にして見てあげてほしいなと思います。

 

ちなみにラストワンマンになる東京公演は4/21(金)、渋谷TSUTAYA O-WESTにて開場18時/開演19時です

(チケ詳細→Hauptharmonie(ハウプトハルモニー)|ライブ/コンサート/ツアーのチケット情報・販売・購入・予約|e+(イープラス)

 

ちなみに今回の旅は、夜の部のライブで本人にサプライズ的に会えるよう、あえて自分が大阪入ってる事を悟られないようにリアルタイムでのツイートをしませんでした(面倒くさいヲタ思考)

 

それで今こうしてまとめるのにめっちゃ苦戦してるので笑えないんですけどねHAHAHA

 

…さて、ちょいちょい真面目入ってしまい照れつつ本筋戻ります。

 

梅田に戻ってから夜のライブまでまだ若干時間があると踏んだゲバラ、「こうなりゃAISの未来の大阪初遠征を先取りじゃい」と言わんばかりに、自分が思いつく限りの名所を麗愛ちゃんFSKで制圧して回ろうと思いつく。

 

まず行ったのが、

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 タワレコ梅田NU茶屋町店。

リリイベ情報でよく見かけていたので初めて来れて嬉しかった。

余談だがこの施設内で(うおっ!みんなエスカレーター右側に乗ってる!!!)と一人高まる。

 

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「7月の俺だね麗愛ちゃん」#偶然見つけた看板

 

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ハロショ大阪店。

やはりFSK芸をやってる身として本家へのリスペクトは欠かさない。

3階の記念撮影コーナーもしっかり荒らしてきた。

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あとハロショ大阪店は品揃えがめっちゃ良かった。

東に向かって「ちょっとは見習えコノヤロー」とボヤきつつ念願のちぇる袋購入。

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人生には三つの袋があると言います。

池袋、コブクロ、そしてちぇる袋です(悪ノリ)

 

そして特にオチもなく話題変えるけどかなともとあーりーのリアル握手看板はちょっと怖かったね麗愛ちゃん。

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そしてここから更に徒歩でズイズイっと移動して、

 

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THE・大阪こと道頓堀

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へ。

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と、ここまで巡って時間切れ。

現場である心斎橋DROPまで移動し、無事時間通りにライブを見る事ができたのでした。

 

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ライブは良すぎてそう簡単に感想まとめられるレベルじゃなかったですね。

 

なので、とりあえずひとつだけこぼれ話!

推しのななみるの最後の凱旋ライブってことで会場では記念の横断幕企画をやっていました。

 

横断幕にファン1人1人が手書きで記念メッセージを書いて、それをライブ中の一番エモいタイミングで掲げる、ってやつです。

 

会場入った瞬間にそれ系に強い東京のヲタク(ヲタ友)が僕を見つけてくれて企画のこと教えてくれたので、自分も二つ返事で快諾したのですが、「何書くか考えながら一回トイレ行くか」と席を外してるうちにいつの間にか横断幕はオープンスペースから回収されており、せっかく書きこむメッセージを「ふぁぼくれ!!!」にしようと決めたものの、結局それは叶いませんでした。

 

まぁ気合入れて張り切れば張り切るほど空回るタイプの推しなので、このくらい脱力感ある自然体で応援するのがちょうど良いのかもしれません。

 

ただ企画用意してくれた皆さん(特に声かけてくれたAくん)には本当に申し訳ない事をしました。すいませんでした。

 

あとサイリウム配布ありがとうございました。

 

その他のライブの感想とかはまた別の機会にまとめられればいいと思うのですが、この日一番「解散直前」を実感した風景は、普段軽薄っぽいキャラで愛されてる名物プロデューサーのあーりーPが、物販でファン1人1人全員に「今まで本当にありがとうございました」と深々と頭を下げていた姿でした。

 

大阪のファンの人からしたら、これで最後のライブになる人も多いわけですもんね。

自分が遠征してたこともあって、正直そこらへんの意識が抜け落ちてました。

 

ちなみに自分の番では「あーりーさんの作る曲が大好きです」と伝えたところ「ありがとうございます。ただ性格が悪すぎましたねw」と、Pは自嘲気味に笑ってました。

 

でも「曲がいい」という事実を、安易な謙遜で濁さないでくれただけで一ファンとしては充分に嬉しかったです。

 

繰り返しでくどいですが、その他の感想についてはまた機会を改めてまとめられたらなぁと思う次第です。

 

かくして!

計画性が微塵もないまま組まれたこの弾丸スケジュールのボッチ強行軍でしたが、なんとか推しの地元凱旋を見届け、大満足で帰りの深夜バスへ乗り込んだのでした。

 

余談ですが、行きであれだけ苦しんだ深夜バスに早くも慣れたのか単に疲れてただけか、帰りはビックリするくらいちゃんと眠ることができました。

 

ひとまず最も伝えたい事には、皆さんも外人カップルにはくれぐれもお気を付けください。

  

ただ、今回の旅で唯一心残りがあるとすれば、ヲタ活関係で回りたいところが多すぎて食を気にする余裕がなく、大阪らしいものを一つも口にしなかった事ですね(昼食→マクド)

 

なので、次回また行ける機会があればなんとか食レポFSK芸できるよう励みたいと思います。

 

それでは、後半推しの話し始めた辺りから真面目になり過ぎまして失速しましたが今日はこのへんで!

 

お粗末!

「もしもアイドル特典会がラップバトル形式だったら」

『ありがとうございまーす!』」
『うん、見えてたよ!ありがと~う!』

 

・・・

 

ヲタク「やばいどうしよう…もうすぐ僕の番だ…緊張してきた…」

スタッフ「次の方どうぞ~」

ヲ「あっ…は、はい!」

ス「それでは特典券お願いします」

ヲ「は、はい…」

ス「先攻後攻は?」

ヲ「あ、後攻で」

ス「OK!!先攻アイドル、後攻ヲタク!

DJ運営!!カ↑マ↓セ↑~!!!」


\プェ!プェ!プェ!プェ~!/

 (※可能であればバックグラウンド再生でビートを聞きながらお楽しみください。

1ターン目は約25秒から始まります。)

 

<アイドル>
まぁ言い飽きたがありがとーぅ!
今後も磨くぜライブとTalk!
…等と述べる言葉さておき、
常連ヅラしたお前に問う!
ライブで静かなヲタクほど、
握手は声デカいの本当?
半端な事故なら自己責任!
見せてみろよお前の接触!


<ヲタク>
「会えて嬉しい」はあえて言わん!
限られた時間と資金のチェイス

チェキ積み、盤積み、俺が詰む!
経験積むお前を包む…
俺の目線 like a 父兄!
スゲェ深けぇ愛で見る最愛!
…のお前に一つ言うぜマイメン!
YouのShowが、やっぱ優勝!


<アイドル>
中の上かなヲタクのBeat!
それならこっちもマジになり、
借りは返すぜアズナブル!
先ゆく猛者共、明日殴る!
…とか物騒なこと言うかマイメン!
燃やすと厄介SNS
忠誠誓うはSMA!
バイブス永久S級です!

 


<ヲタク>
「中の上」とかありがたみ!
中ジョッキくだ巻くヲタク飲み!
悲しき性かなヲタクの身!
推しの前ではかなりボキャ貧!
でもただ会えるだけでAll Light!
溢れる気持ちで流される、
軽く肩叩かれ息を吸う
想いを込めて言う『また来る』

 

\プェ!プェ!プェ!プェ~!/

 

スタッフ「あ、すいませんお時間でーす」

 ヲタク「あ、は~い」

アイドル「ありがとうございました~!」

ヲタク「うん、またね~」

 

・・・

 

スタッフ「次の方どうぞ~…あ、はい特典券2枚なので、8小節4ターンですね。

先攻後攻はどうしますか?」

 

・・・

 

(雑に)【FIN】 

【半妄想小説】「仮定の過程~今日、あの子に会えてよかった(AIS・橋本麗愛 編)」

 

《ファッション雑誌編集長、晴梨 朋(30)の場合》

 

 [Chapter1/3…『youthful days』]

 

「"カワイイ"と"強い"の共存ってあり得るのかな?」

 

理屈っぽい性格だから、昔からそんなことばかり考えてた。

 

年頃になって周りの女の子が"カワイイ"に夢中になっていく一方で、

 

"強さ"を隠すのが下手な私みたいなタイプは、あまり男の子に受けがよくなかった。

 

「ともは不器用だなぁ。

男なんて自信ないのに無理して強がってるだけなんだから、弱点に気付いてないふりしてイイ感じに頼ってあげればけっこう単純だよ?」

 

そう言ってケラケラ笑ってたかつての同級生を思い出す。

 

あの子覚えてる限り彼氏途切れてた記憶ないけど、今頃もう結婚して子供いたりするのかなぁ。

 

羨ましいのかどうかは、正直自分でもよく分からないけど。

 

「あー、私もとうとう大台乗ったかー」

 

無理して意識しないようにしていたのに、腕時計が0時ちょうどを指す瞬間を見てしまった。

 

「あーあ、30かぁ」 

 

愚痴っぽく零れた独り言は、白い息になって暗い空へと消えていく。

 

「20代の終わり際はやたら「30」って数字に敏感になったりもしたけど、いざなったらなったで意外と30代もなんてことないな。」

 

そんな強がりを心の中で繰り返しながら、やっとたどり着いたドアの鍵を乱暴に開けて、中へなだれ込む。

 

どさっ、ばふっ。

 

化粧も落とさずベットに倒れた。

 

ポケットの中のイヤホンみたくグチャグチャになった髪の毛が、今日の終電の混み具合を物語っていた。

 

「ビール…ビールぅ…」

 

上半身だけでもぞもぞ動いて、調達してきたばかりのコンビニ袋にたどりつく。

 

パンパンに張った両足は、一日たった5cmちょっとの強がりに支払った痛い代償だった。

 

「ぷはぁ~、やっぱ旨いなぁ~」

 

我ながら酷く間の抜けた声だ。

 

このとおり、

 

外では完璧に『女性』として振る舞えている自信がある分、家での私はどうしようもなく『女』だった。

 

誰かに頼るには強すぎて、頼られるには少し心細い。

 

そんな難しい年代になってしまった事への漠然とした焦りを、今日も慣れ親しんだ味と酔いとで塗り潰した。

 

「うわ…なんもやってないな…」

 

ことごとく期待ハズレだったTV番組に見切りを付け、スマホとイヤホンを手に取る。

 

シャッフル再生で最初に流れてきたのは、高校生の頃、私が初めて「強さ」を意識するキッカケになった曲だった。

 

今も目蓋の裏に焼き付いて離れないPV。

 

あの鮮烈な光景。

 

豪雨の中、金網越しに軽蔑の眼差しを向ける大人達を受容も拒絶もせず、ただ不思議な笑みを浮かべながら一瞥していた美しい瞳が忘れられない。

 

「…あっ」

 

おもむろにスマートフォンを操作していると、誤って次の曲へ飛ばしてしまった。

 

先ほどとは打って変わって、爽やかなギターの音色が流れ込んでくる。

 

「あ、ミスチルだ…なつかし…」

 

 これも高校生の時から聞いている思い出深い曲だった。

 

「一見爽やかで好青年っぽく思わせといて、腹の底は意外とドロドロしてそうな歌」という、ひねくれた感想と共に大事にしてきた曲。

 

この曲の歌詞にでてくる「サボテンを育てる女性」に憧れて、かつて同棲していた彼にサボテンをねだった事を思い出す。

 

まるで子供のように大事に育てたサボテンだったけれど、2人でその花を見られることはとうとう最後までなかった。

 

聞くと、サボテンを枯らしてしまう人の多くは水のあげすぎが原因らしい。

 

中には「日当たりのいい場所に置いて、あまり水をあげない方が綺麗に花が咲く」という書き込みもあった。

 

甘やかされ過ぎると枯れてしまい、落ち着く場所でちょっと放っとかれるくらいのほうがちょうどいい。

 

そんなサボテンに不思議な親近感を抱くようになった頃にはもう、そばにいて私に水をくれる人はいなかった。

 

今思えばあの時の私は、純粋に彼と2人でサボテンを育てたかった訳ではなかった。

 

きっと「物言わぬサボテンを愛し、育てている優しい自分」という構図に酔いながら、何よりも自分自身を愛してあげたかったんだ。

 

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Mr.Children「youthful days」Music Video

 

 

 

[Chapter2/3…『Tiny Tiny Melody』]

 

「次号の原稿に不備が見つかって、急な直しが入ったから今から出ろ」

 

そんなたった一本の無機質な電話で、私の休日は休日ではなくなった。

 

仕方なく準備をして駅へ向かう。

 

仮に休みでも特に予定がなかったので、仕事とはいえこうしてセカセカ動いていることに変な安心感を覚えてしまう自分が、どこか悔しくもあった。

 

思い思いの服と目的を身に纏い、

楽しげに笑い合う男女で混み合う週末の電車をやり過ごし、会社に着く。

 

中に入ると、例の重大なミスをやらかした犯人と思しき人物が、周囲から強く責められていた。

 

たしかウチに入ってからまだ数年の小柄な女の子。

 

あまり直接話すことはなかったけれど、「菊田さん」という名前だけは思い出せた。

 

「なんでこんな初歩的なミスするかなぁ、お前何年目だよ?」

 

「…すいません」

 

「お前がこれやらかしたせいで、ここにいる何人が休日取り上げられたと思ってんの?

ねぇ、ほんとにわかってる?」

 

「…申し訳ありません」

 

不機嫌さを隠さない怒鳴り声がフロアに響く。

 

イライラしている時の男の声は、何度聞いても本当に耳障りだ。

 

感情がいっぱいに詰まった水風船のような女の心に、理屈というナイフを突き立てる無神経さが理解できない。

 

「ちょっとなにやってるの!?

今そんなことしてる場合じゃないでしょ、状況は?」

 

今にも崩れてしまいそうだった彼女を、庇うような形で間に割って入る。

 

よく見ると菊田さんは、薄っすら泣いていた。

 

 

・・・

 

 

「よぉーっし、とりあえずこれで大丈夫だな」

 

「お疲れです」

 

「お疲れさまでーす」

 

なんとか事態が収まったのが夕方頃。

 

出口のドア横に立った菊田さんは、帰っていく社員一人一人に対し、深々とおじぎをしながらお礼とお詫びを伝えていた。

 

私は最後の1人になるまでその姿を見届けたあと、ゆっくりと彼女の元へ向かった。

 

「ねぇ、菊田さん。

よかったらコーヒーでも飲んでいかない?」

 

彼女は少し驚いて目を真ん丸にしてから、小さく頷いて「はい」と了承した。

 

 

・・・

 

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「あの…最初に言っとくけど、私はここで貴女を叱るつもりはないから」

 

「えっ」

 

『意外だ』という素直なリアクションが返ってきた。

 

どうやら彼女はここに、私の叱責を受ける覚悟で来ていたらしい。

 

それだけ仕事のイメージが強いんだな、私。

 

「過ぎたことを責める気もないし、そもそも私は貴女の直接の上司ってわけでもないから、あの…なんていうか…」

 

控えめに色付いた栗色の前髪から覗く、不安そうな眼差しと目が合った。

 

「あの…朝、怒られてた時、泣いてたでしょ?

でもあれって、たぶん仕事じゃないなにか別のことで泣いてたんじゃない?」

 

「…」

 

人の内面を見透かして、そこへ不用意に立ち入ってしまうのは私の悪い癖だった。

 

まるで「私はあなたのよき理解者です」みたいな顔をして、実際にやってることは小学生の探偵ごっこレベルだ。

 

「あ…いいのよ、言いたくなかったら。

プライベートまで詮索するつもりはないし」

 

「…別れたんです」

 

「え…?」

 

「大好きだった彼が…浮気してて…もう何もかもが嫌になっちゃって…」

 

隅の席を取っておいて正解だった。

 

私は自分でも驚くほど冷静に、泣き続ける彼女を見ながらそんなことを考えていた。

 

「なんだ、そんなことか…」

 

ーダメだ、こらえなきゃー

 

そう考えるより先に、言葉が出てしまった。

 

 「そんな…そんな言い方ないじゃないですか…!」

 

普段大人しい彼女が涙ながらに反論してくる。

 

だけど、一度堰を切った感情はもう止まらない。

 

「いい?

 

もう子供じゃないんだから、仕事とプライベートはちゃんと分けなさい。

 

そういうあなたの弱さに巻き込まれて、

余計な仕事をやらされる人が大勢いるの。

 

あなたの気持ちぐらい、あなた自身でコントロールしなさい。」

 

血の通わない正論の束が、弱った彼女に容赦なく追い打ちをかける。

 

こんな時ばかり大人の理論を振りかざす自分の幼さに嫌気が差す。

 

「…うぅ…うっ…」

 

とうとう彼女は本気で泣き出してしまった。

 

こうなるともう私には手が付けられない。

お手上げだ。

 

「ごめん、私もう行くわ。

お金ここに置いとくから、払っておいて」

 

どうしようもなくイライラした顔を見られたくなくて、

私は逃げるようにしてその場から立ち去った。

 

小さく肩を震わせる彼女を、一度も振り返ることなく店を出る。

 

自分がなぜこんなに取り乱しているのか。

 

その答えがあまりに明白過ぎるという事実が、私を更に不機嫌にさせた。

 

分かってる。

 

さっき私が叱ったのは菊田さんではなく、他の誰でもない過去の自分だった。

 

 

 

・・・

 

 

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私はムシャクシャすると、いつも決まって新しい音楽を求めた。

 

初めて聞くメロディーに脳がビックリする感覚を利用して、

嫌な気分を上書きする作戦だ。

 

「ほんといつ来ても人多いなぁ、ここ。」 

 

いつしか着る服のタイプも変わり、

ライブにもあまり行かなくなってしまってからは、

私の中の「渋谷=遊びの街」という考え方もすっかり変わってしまった。

 

いまではせいぜいこうしてTSUTAYAのレンタルCDコーナーに通うぐらい。

 

ハチ公口から降りて、スクランブル交差点の対角線をただ往復するだけの淡泊な歩き方が体に染みついていた。

 

「へぇ、このバンド新譜出てたんだ…」

 

『出会いたい音楽』に出会いたい、という矛盾した気持ちで棚の隙間を歩き回る。

 

セット割引きを適用させる為だけに選んだ5枚目のCDは、

自分でも何に惹かれたのかよく分からないままカゴに入れた。

 

レジで簡素な手続きを済ませてから、

受け取った袋を鞄にしまう。

 

エスカレーターを下った先の喫茶店では、

若いカップルが下品な笑い方で盛り上がっていた。

 

その不快な雑音をかき消すべく、ポケットからイヤホンを取り出す。

 

絡まったコードと格闘しながら歩くと、

ちょうど店から出るところでキレイにほどき終わった。

 

それと同時に、何やら変わったことに気付く。

 

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「ん?」

 

見ると、アイドルらしき女の子たちがチラシ配りをしていた。

 

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お揃いの白い帽子が6つ、辺りを忙しなく動き回っている。

 

寒い中大変だなぁ、と思いつつイヤホンを手に取りなおしていると、

1人の女の子がこちらに歩いてきた。

 

「(あ、なんかこっち来た…

 

うわ、よく見ると凄いかわいいなこの子…

 

え、かなり近くにきた…どの人に渡すんだろ…)」 

 

『AIS(アイス)です!定期公演やってるのでよかったらきてください!』

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「…えっ?わ、わたし?」

 

思わず変な声が出てしまった。

 

『ハイ!よろしくお願いします!』

 

「あ、ありがとう…」

 

力強く手渡されたその勢いに負け、自然とチラシを受け取る。

 

「(うわ…これ手書きだ…カワイイ…!)」

 

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 『ありがとうございますっ!』

 

「えっ、あ…いえいえ!」

 

ただチラシを受け取っただけなのに、

その女の子は丁寧に深々とおじぎをしてくれた。

 

『それじゃ、失礼しますっ!』

 

「あ…待って!」

 

しまった。

何も考えずに呼び止めてしまった。

 

『はい?』

 

女の子は再度チラシ配りに行こうとする足を止め、

私の言葉を待つようにじっとこちらを見ている。

 

「な、名前…名前教えてもらっていいかな?」

 

『あ、れなです!橋本麗愛っていいます!』

 

「れなちゃん…うん、わかった。ありがとう!」

 

『はいっ!よろしくお願いします!』

 

そう言ってれなちゃんは颯爽とチラシ配りに戻っていった。 

 

(なんで名前聞いたんだろ、私)

 

そんなことを考えながら、

しばらく彼女たちのチラシを配りをぼーっと見ていた。

 

少しすると時間になったのか、マネージャーさん?の合図でメンバーが集合し、

集まった人たちに挨拶をしてから遠足のように一列で帰っていった。

 

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「あ、私も帰んなきゃ!」

 

ふと我に返り、点滅する向かいの青信号めがけて走り出す。

 

「にしても…よく今の私に声かけられたな…」

 

感情が顔に出やすいという欠点は、誰より自分がよくわかっていた。

 

そのせいで 〔笑顔”晴れ無し、友”だち無し〕 とかよくからかわれてきた。

 

ましてやさっきの今だ。

 

きっと知り合いでも声をかけたくないような険しい表情をしていたに違いない。

 

「れなちゃんか…」

 

まるで閉じかけたエレベーターの扉をギリギリで開けるように、私がイヤホンをする直前の隙間に飛び込んできた小さな美少女。

 

端正な顔立ちと落ち着いた雰囲気に似合わない、その少しそそっかしい動き方と、隠しきれなかった無邪気さの表れような八重歯が印象的だった。

 

なんの根拠もないけれど、

 

まるで壊れたレコードが無音で回り続けるみたいだった私の生活に、

まだ小さいけれどたくましい音が、今少しだけ鳴った気がした。

 

ふと思い出したようにスマホの音楽アプリを立ち上げ、再生ボタンを押す。

 

「(あ…これ今の気分にぴったり)」

 

こういう時のシャッフル再生は見事に私の気分を読み当てるから愛おしい。

 

優しい歌声が溶けた穏やかなメロディーが流れ込んでくる。

 

読むだけで力が抜けそうな、そのかわいい名前を何度か舌の上で転がした。

 

「そういえば、こんなに一日に『かわいい』って言ったの久しぶりだな。」

 

いつものように白い息になって空に消えていくその独り言を、なぜだか今日は暖かい気持ちで見送った。

 

 

 

 

 

[Chapter3/3…『All The Things She Said』]

 

あの日家に帰ってから、軽い気持ちで彼女のことを検索してみたら止まらなくなった。

 

いい歳した女が女の子のアイドルにハマるのってどうなのかと一瞬思ったけど、このなんだかよく分からない「好き」をよく分からないままにしておけるほど、私は自分の本能に鈍感ではいられなかった。

 

そして…

 

「麗愛ちゃんに会いにライブに行ってみよう」

 

突発的にそう思ってからの私の行動は早かった。

 

まず公式サイトの案内通り「PigooLIVE」というサイトでチケットを予約。

 

コンビニで代金を払い終えると、支払い完了を証明するメールが届いた。

 

入場口でこの画面をスマホで見せればいいらしい。なるほど。

 

私が朝10時からコンビニの専用端末を占拠していた頃に比べると、かなり時代は進んでいるみたいだ。

 

そこからライブ当日までの私的な時間は、主に予習に費やした。

 

「へぇー、アイドルのカバーだけを歌ってるから、”All Idol Songs”でAIS(アイス)なんだ、」

 

「今年の頭からだいたい半年は”候補生”っていう下積み期間で、そこからグループができた…と」

 

「え?先輩グループのメンバーが兼任で一緒にやってるんだ

それで…あ、日によっていたりいなかったりするんだ!うわ、怖…(笑)

まぁ、私でいう本部の定期監査みたいなもんか、

お互い中間管理職は大変だね麗愛ちゃん(笑)」

 

…と、麗愛ちゃんを知ってからというもの、

TVを点ける機会がめっきり減った代わりに、

ビールで酔いながらひたすら動画の麗愛ちゃんに話しかけるという怪しい日課ができた。

 

いままで女性アイドルになんて一度も興味を持ったことないのに、なぜか彼女のことは自然と好きになれたし、それが自分でも不思議だった。

 

そしてある日、

ただなんとなく過去の記録を遡っていると、動画やビールで酷く浮かれていた私を一瞬にして冷静にさせた、あるブログと出会った。

 

 

 

 年上とか年下とか関係なく、素直に「すごい」と思った。

 

そして、自分が麗愛ちゃんに惹かれる大きな理由の一つが、「彼女への憧れ」であることにようやく気付いた。

 

まだ中学生なのに、ここまで自分や自分たちの状況を客観視できること。

 

更にこうやって、まっすぐな文章にして人に伝えられること。

 

そして、自分の言葉に対して、行動で嘘をつかないところ。

 

この子は、本当にスゴい。

 

その密かな感動に揺さぶられて、自然とため息混じりに言葉が漏れた。

 

「”カワイイ”と”強い”って、共存できるんだ…」

 

 

 

・・・

 

 

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「うわ、なにげに初めてきたかも…」

 

改札から出ての第一声がそれだった。

 

アニメやゲームみたいな分かりやすい共通項が無かった私は、過去全くといっていいほどこの街に縁がない。

 

私は道行く人々の中でただ一人、

目に映る何もかもを新鮮そうに見つめながら、探り探り秋葉原を歩いた。

 

 

・・・

 

 

電気街口から出て、そのまま大通りへ。

 

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 方向音痴な私はまるでランプをたよりに洞窟を進むように、地図アプリの指示に従い大通りをまっすぐ進んだ。

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「あ、ここを左か。」

 

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「あった!たしかこのビルでいいはず。」

 

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「で、たしかこの建物の中にあるはずなんだけど…あ、これか。」

 

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「へぇ、ここの地下にライブハウスがあるんだ。」

 

慣れない雰囲気に少し緊張しながらも、階段を下る。

 

開演待ちの人混みをすり抜け、スタッフさんの案内どおりに発券手続きを済ませた後、会場内へ入った。

 

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「あ、座れるんだ…」

 

キレイに並んだ長椅子を見て少し安心する。

 

恐る恐る席に着いて、一息ついてから辺りを見渡す。

 

トイレに行く人、グッズを買いに行く人、スマホをいじる人、談笑する人。

 

思い思いの方法で今か今かと開演を待つ人々は、皆どこかそわそわしてて可愛らしかった。

 

(そっか。この人たち全員、AISのことが好きなんだ。)

 

そう思うと、自分はすごく特別な場所に来ている気がした。

 

正直、「自分なんかがアイドルのライブに来ていいのかな」なんて変に緊張していたけれど、初めて訪れたこの空間には不思議な居心地の良さがあった。

 

しばらくすると会場が暗転し、簡単な注意アナウンスを経てライブが始まった。

 

「うわ、かわいい…」

 

前のチラシ配りの時とは違い、今日は8人のフルメンバーでAISが登場する。

 

皆まだ小さな女の子たちなのに、生で見る全員でのAISには言葉にできない頼もしさがあった。

 

「まぁ、たぶん一曲もわからないだろうな」

 

家で動画を見ながら予習していた時もそうだったけど、おそらく、長いこと色んなアイドルを見てきたファンには堪らないであろうカバー曲の数々も、畑違いで知識がない私にはその特別感がまったくわからなかった。

 

他のファンが一曲一曲に楽しそうに反応している時、まるで自分だけが蚊帳の外のようで少し寂しったけど、曲ならこれから少しずつ覚えていけばいいし、なにより歌って踊る麗愛ちゃんを直に見られるだけで充分幸せだ。

 

そんな事を思いながら、私は初めて生で見るAISのライブを楽しんでいた。

 

『それでは次は、今日一つ目の新曲になります!』

 

その一言で一斉に沸き立つ会場。

 

どうやらこの新曲発表の瞬間は「次に何をカバーするんだろう」というファン側の推測とAISとの答え合わせであり、ファンが彼女たちを応援するうえで、最も盛り上がる瞬間の一つのようだった。

 

とりあえず「イェーイ!」と、周りに合わせて盛り上がってみる。

 

(ま、どうせ私の知らない曲だろうけど)

 

そんな複雑な心境を、今日は顔に出さないよう注意深く笑った。

 

MCが終わり、再び会場が暗転する。

 

ゆっくり流れだしたイントロの途中、何かに気付いた私は、ハッとして思わず息を呑んだ。

 


ジュエミリアカバー【12.4「ALL THE THINGS SHE SAID」ライブ映像(初披露)】AIS(アイス)

 

「知ってる…私この曲…知ってる…」

 

無意識のうちに、そう自分に言い聞かせるように呟いた。

 

十数年前、私が抱いた「強さへの憧れ」の象徴のようなこの曲を、

今目の前で少女たちが懸命に歌っている。

 

様々な光景がフラッシュバックした。

 

大人たちからどんなに心無い非難を受けようと、全く物怖じせず常に凛としていた、異国から来た2人の少女。

 

どんなに誤解や偏見の目で見られようと、私はあの2人のようになりたかった。

 

名前の通り、見る人全員の記憶にその印象を強く刻み込むような、あの気高さに憧れた。

 

傍若無人なまでに自分を貫ける、自信に満ちた佇まいに憧れた。

 

人形のように整った顔立ちなのに、いつまでも少女のようにクシャっと笑うあの無垢さに憧れた。

 

そんな私の人生の憧れの全てが、今こうして目の前にあった。

 

(あ、日本語版なんだ)

 

彼女たちが歌っているのは原曲ではなく、カバーverであることに途中で気付く。

 

それでも依然、私の中からこみ上げる熱いモノは収まる気配がない。

 

成長期の最中にあってまだ声も完成していないような少女たちが、悲痛な表情で何かを伝えようと必死に歌っている。

 

今の私にはただその光景だけで充分感じ入るものがあった。

 

正直にいってまだ歌声は安定しているとは思えないし、ダンスも完璧に程遠いことは素人目にも分かった。

 

だけどそのパフォーマンスには、曲や思い出の補正を差し引いても、ファンの心に確かに残る「何かを伝えたい」という情熱のようなものがあった。

 

気付くと私は終始、訳も分からず泣いていた。

 

大好きな思い出の曲を期せずして聞けた感動と、舞台上で歌い踊る麗愛ちゃん眩しさが相まって、溢れる涙が止まらなかった。

 

 

・・・

 

 

突き放すようなドラム音を残して、その曲は終わりを告げた。

 

客席からは拍手の渦。

 

いままでは分からなかったけど、今度こそこの感動の意味をしっかり理解できた。

 

そのうえで今こうしてファンの一人として、一緒に拍手を送れることが嬉しかった。

 

結局もうひとつの新曲は知らなかったけれど、動画で予習してきた既存曲を含め、どの曲も個性に溢れていて素敵だった。

 

それは全ての曲に、「かつて別のアイドルが思いを込めて大切に歌ってきた歌」という共通のストーリーがあるからこその魅力なんだろうな、なんて少し知ったかぶった事を思った。

 

とにかく、どこまでも満足な気持ちを感じさせながら、私にとって初めてのAISのライブは幕を閉じた。

 

 

・・・

 

 

「続いて特典会に移ります」

 

ライブを終えたメンバーたちが退場した後、そんな会場アナウンスがあった。

 

噂に聞いていた「握手会?」というやつがこれから行われると気づき、ワクワクした気持ちでステージを見守る。

 

少しすると再びメンバーたちがステージに登場し、長机を隔てた向こう側に横一列で並んだ。

 

『これからAISに恋する特典会を始めます!よろしくお願いします!』

 

『『よろしくお願いします!』』

 

という礼儀正しい挨拶の後、なにやら特典会?という物が始まった。

 

「あ、握手はしないんだ」

 

どうやら握手やハイタッチなどはせず、一列に並んだメンバーの前を通りながら、一人ずつと会話をするシステムらしい。

 

彼女たちと話している時のファンはやはり皆嬉しそうで、見ているこっちまで嬉しくなった。

 

 

・・・

 

 

『特典券お持ちの方いらっしゃいませんかー?いなければここで終了しまーす』

 

ライブの余韻に浸りながらしばらくぼーっとステージを見ていると、特典会の締め切りのアナウンスがされた。

 

なにやらファン側もソワソワしている。

 

(そっか、何を喋ろうかギリギリまで考え込んでたファンが急かされて焦ってるんだ)

 

そんなことに気付き、改めて「かわいいなぁ」と思う。

 

たった数秒のお喋りをそんなに大事にするなんて、本当にあの子たちのことが好きなんだなと、再び暖かい気持ちになる。

 

「あの~、すいません」

 

「は、はい?」

 

ふいに呼ばれ振り返ると、見知らぬ男性が恐る恐るといった様子で話しかけてきた。

 

「あの~、僕、友達にグッズ買っといてくれって頼まれて、けっこう特典券余っちゃってるんですけど、これよかったら一枚いかがですか?」

 

「え?これ、くれるんですか?私に?」

 

「あ、はい。ほんと、よかったらでいいんですけどw

 

でも早くしないと特典会終わっちゃうし、この券って基本的に当日しか使えないので、ここで使わないと無効になっちゃうんですよ」

 

「え!そうなんですか!?じゃ、じゃああの…すみませんが一枚いただきますっ!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「い、いえいえこちらこそっ!」

 

こうして、昔からのケチな性分からか『いま使わないと無効になる』という言葉を聞いて、反射的に券を貰ってしまった。

 

人目も気にせず小走りで列へ向かう。

 

(えーっと、なんだっけ。これって今私は何をしてるんだっけ)

 

ちょっとしたパニック状態のまま最後尾につくと、次第に列は進み、さっきまでライブをしていたメンバーたちがすぐ目の前に現れた。

 

(うわすごい近くで見るとほんとカワイイ…じゃなかった、どうしよ何話そう!?と、とりあえず一人ずつ褒めるとこ探さなきゃ…いやちょっと待って順番きちゃう、え、待って私何も考えてないウソやばい、どうしよ…え、待って…)

 

そんな完全パニック状態のまま、私は促されるがままに列の道筋通りに進んでいく。

 

とうとう私の順番がきて、最初のメンバーが「ありがとうございます」と言って、ペコリとお辞儀をしてきた。

 

そこからは自分でも何を言ってるのかよく分からないまま、「カワイイ、タノシカッタ、マタクルネ」を一心不乱に繰り返した。

 

こんな情けない状態の私にも「ありがとうございます」とキラキラした笑顔をくれるメンバーたちは本当に優しい。

 

そしていよいよ私は麗愛ちゃんの前に来た。

 

『ありがとうございます!』

 

渋谷ぶりに見る超至近距離での笑顔が眩しい。

 

と、そこまできて私は、不器用でもいいからちゃんと思ってる事を伝えようと決意した。

 

「あ、あの、渋谷でチラシ貰って、れなちゃんに!それで、会いにきました!」

 

『ほんとですか!あ!あの、名前聞いてくれましたよね?』

 

「え!あ、はい!」

 

(すごい!あの日、一瞬しか喋ってないのに覚えてくれてる!)

 

『チラシ見て来てくれたんですか!ありがとうございます!』

 

「いや、あの、こちらこそ…すごい楽しかったです!」

 

無難な言葉だけど、本当に正直な今の気持ちだった。

 

『ほんとですか!ありがとうございます!』

 

そんな私の100%の気持ちに、麗愛ちゃんも100%で返してくれた。

 

「・・・」

 

一呼吸おいて、いちばん言いたい事を伝えるための勇気を振り絞る。

 

麗愛ちゃんはあの日と同じように、こちらの目をじっと見ながら私の次の言葉を待っていた。

 

言おう。

 

この子のために。

 

そして自分のために。

 

「れなちゃんの、その…人のために強くなろうとしてるところが…大好きです…っ!」

 

『…?あ、ありがとうございます!』

 

「あ、ま、またきますっ!」

 

『はい!まってます!』

 

そうして、私の人生初となるアイドルの特典会は幕を閉じた。

 

まだ心臓がバクバクいってるまま、さっきの男性にお礼を告げ、会場を出る。

 

麗愛ちゃんとの会話では、例の言葉を伝えた後一瞬だけ「?」って表情をされてしまったけれど、そんなことがどうでもよくなるくらい、帰り道での私の足取りは軽かった。

 

「人のために強くなろうとしているところが好き」

 

それは私からの純粋な褒め言葉であると同時に、今後の私の目標となった。

 

思えば私は、

 

どれだけ自立してるかとか、

 

どれだけ人に頼らずいられるかとか、

 

そういう表面的な事に固執して「強さ」の意味や目的なんて考えたことなかった。

 

でも彼女は違った。

 

「ー私以外はみんな泣き虫だからー」

 

 ただ自分のプライドを守るために泣き顔を見せたくなかった私とは違って、麗愛ちゃんは、メンバー皆の為に自分だけは泣かないと言った。

 

誰かに頼ることを嫌って、ただ弱い顔を見せないだけが「強さ」じゃない。

 

悩んでる相手に向かって、ただ自分の中の正解を押し付けるだけが「優しさ」じゃない。

 

あの子は私に、そんな事を教えてくれた気がした。

 

電車に乗って、スマホを取り出す。

 

でも今日はシャッフル再生はしない。

 

もう聞きたい曲は決まっていたから。

 

明日会社に行ったら、あの喫茶店ぶりに菊田さんに話しかけてみよう。

 

ちょっといいデザートでも食べさせてあげて、心には色んな満たし方があるんだよってことを教えてあげよう。

 

それと、『女性』の振る舞いをすこしだけ伝授してあげるかわりに、忙しさに負けていつの日か忘れてしまった『女の子』のやり方を、逆にもう一度教えてもらおう。

 

そうだ。

 

そのあと思い切って部屋の模様替えをしたら、もう一回サボテンを育ててみよう。

 

イヤホンからは、何年経っても色あせないクールな2人の歌声が響いている。

 

 

 

 

「まだちょっとだけ本物の方が…上手いかな(笑)」

 

誰に言う訳でもなく、電車の窓ガラスに微笑みかける。

 

そこに映った自分の笑顔を見て、「私はこれからもっと優しくなれる」と思った。

 

一つ、幸せな溜息を吐いてから息を吸う。

 

たった十数秒の会話を何度も反芻しながら、世界と自分にじっくり言い聞かせるように呟く。

 

「今日、あの子に会えてよかった」

 

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【Fin】

 

 

 

 

人生は勝ち負けじゃない。

『人生は勝ち負けじゃない』

 

そんな言葉を聞いた時、

 

あなたはどう感じるだろうか?

 

 

 

「うわべだけの言葉だ」

 

「キレイごとだ」

 

「偽善者の常套句だ」

 

 

 

感じ方は実に人それぞれだろう。

 

たしかに人生は不公平だ。

 

各々思うところもあるかもしれない。

 

だが僕は言いたい。

 

「勝ち」か「負け」か、

 

そのたった2通りでしか測れない人生なんて悲しすぎる。

 

だから僕は言いたい。

 

「勝ち」か「負け」かの2通りだけが人生じゃない。

 

人生は…

 

 

……

 

………

 

「勝ち」か「負け」か「思い出し負け」か、の3通りである。

 

 

 

 

 

少し昔話をしよう。

 

それは遡ること約(ピー)年前、

 

この不肖ゲバラがまだ中学生だった頃のことである。

 

当時、「野球部内のヲタク派閥の中の下の上」という、

 

なんとも説明の難しい中途半端かつ泥濘たる地位に甘んじていたゲバラ少年。

 

当然、別マや少コミのような甘酸っぱい展開が訪れる気配すらなく、

 

来そうで来ないテトリスの長い棒をただ漫然と待ち呆けるような日々を送っていた。

 

そんなテトリス以外何も積み上げるもののなかった彼の生活に、ある日突然衝撃が走る。

 

時期は2月。

 

察しの良い方ならもうお分かりだろう。

 

そう、

 

乙女のピュアな恋心で、冬の寒気を2人の歓喜に変えちゃうゾ❤的な1年1度の脳内お花畑イベントこと、「❤セインツ・ヴァ~レンタインディ❤」である。

 

当然、別マも少コミもちゃおもりぼんも縁遠い青春を送っていたゲバラ少年には、

 

これっぽっちも関係のないイベントなのだが、

 

時としてなんの関係もない第三者すら巻き込むのが神の気まぐれというもの。

 

当時の僕もまた、そんな残酷な気まぐれに巻き込まれてしまった尊い犠牲の一人だった。

 

「なんか4組の〇〇がバレたらしいぜ!」

 

セガキの噂はバイク便より早い。

 

どうやら今年も例の如く、

 

小判(チョコ)を懐に忍ばせて学校に持ち込み、

 

城主(教師)の目を盗んで忍者(好きな男子)に手渡そうとしたくのいち(マセた女子)が大量発生したらしい。

 

そしてくのいちは頭がイマイチなので、

 

チョコ同様、形だけは計画を練るものの、

 

実際はほぼ輝かしいゴール(交際開始)のことしか算段に入っておらず、

 

次々と城主(教師)の手の者(主事さん)に捕らえられ、

 

夜な夜なその荒縄の餌食となった。

 

そして訪れたXデー。

 

それは一週間で唯一野球部の練習が休みだった火曜日のこと。

 

朝、家を出る時点から「はやくスパロボのつづきがやりたい」以外の感情を失っていたゲバラ少年。

 

当然、元からない集中力が更に切れる3時間目辺りから、

 

頭の中は「いかにしてWガンダムの火力を引き上げるか」で一杯である。

 

そんなゲバラ少年の耳に火急の知らせが飛び込む。

 

くのいちが多すぎるというあまりの事態に城主(教師)たちが業を煮やした結果、

 

5・6時間目の午後の授業をまるまる使っての、

 

「緊急くのいち晒し上げ集会」の開催が決まったのである。

 

知らせを聞いた瞬間、膝から崩れ落ちるゲバラ

 

なぜなら彼は知っていた。

 

明確なゴールがないこの手の集会が高確率で間延びすることを。

 

本来犯人であるくのいち達がなぜか泣きわめき、

 

チョコを渡されただけの忍者(男子)達まで道連れ状態で晒し上げに合い、

 

その酷い光景を生き証人としてただ黙って見せられる非モテ文化系たち。

 

目に浮かぶ地獄絵図。

 

遠ざかるWガンダム

 

蹂躙される貴重な火曜日。

 

まさに絶望の三面鏡。

 

こうして、

 

叱る側、叱られる側、立ち合わされる側、

 

その場にいる人間が誰一人として得をしない、不毛を極めた会合への招待状が届いたのであった。

 

そうこうする間に時が満ち、もはや死んだ魚の目で臨むゲバラ

 

いそいそと体育館に移動し、教室から運ばされた自分の椅子に座る。

 

ほどなくして城主たちからくのいち及び忍者たちへの責め苦が始まる。

 

「それじゃ、学校にチョコを持ってきた女子とそれを受け取った男子だけその場に立って」

 

一斉に立ち上がるくのいちと忍者。

 

その人数はゲバラの想定より割と多く、

 

その事実が多感な思春期のメンタルを密かに傷つけたことはいうまでもない。

 

にしてもむごい、むごすぎる。

 

これが教育の現場に立つ者のやることか。

 

ゲバラの心の金八が、泣きながら髪を耳にかけなおす。

 

冷静に辺りを見回すと、

 

立ちながらなぜか少し誇らしそうな一部の忍者。

 

近くで嗚咽を漏らして泣きじゃくるくのいち。

 

全てを諦めて座ったまま眠りにつく文化系。

 

そして前方からはハートマン軍曹並の城主の言葉攻めがつづく。

 

(ただチョコを持ってきただけでそこまで言うか)というレベルの、

 

よもや人間性すら否定しかねない辛辣な罵声がつづく。

 

ただ座って場を静観している文化系も、

 

集中力が切れて油断したかというところに、

 

「あなたたちが勝手なことをしたせいで、これだけの無関係な人達がここに呼ばれています」

 

…みたいな城主の第三者巻き込み型叱責でハッとさせられる。

 

(なんだこの時間…)

 

誰もがそう思ったことだろう。

 

そうして摩耗する精神と薄れゆく意識の中で、

 

ゲバラはとうとう見てはいけないものを見てしまう。

 

「うっ…ごめ…わたしのせいで…ヒック…」

 

『あ、別にいいよwホラ、黙ってないとまた怒られるよw』

 

なんと、失意に暮れてなきじゃくるくのいちを、

 

おそらく彼女のチョコを貰った、つまり彼女に巻き込まれる形でその場に立っていた忍者が、

 

こともあろうに彼女を優しく慰めていたのだ。

 

率直に言って、にわかに理解しがたい光景だった。

 

(なぜだ?なぜそこまで寛容になれる?)

 

サッカー部で僕同様、中の下の上に位置していた、

 

決してお世辞にもイケメンとはいえないその忍者を見ながらかつての僕はそう思った。

 

そして、そんな得体の知れない違和感に包まれながらなんとか地獄の会は終わり、

 

バレンタイン事件はひとまずの決着を見た。

 

その後、一連の出来事を忘れたい一心からか、

 

何かに急かされるように走って帰路についたゲバラ

 

そして先日この話をふと思い出した時、

 

齢二十歳を優に超えた今の僕はこう思った。

 

あの時、

 

目立った問題を起こさず、着座して叱られるくのいちや忍者たちを静観している自分のことを内心「勝者」だと思っていた。

 

しかし、本当の勝者は座っていた僕ではなく、

 

無実の罪で立たされながらも、

 

自分を巻き込んだくのいちを大いなる心で許したあのサッカー部のバカ忍者だったのではないだろうか。

 

その場では勝った気でいても、

 

いざ後になり振り返ってみて初めて「あぁ、あれは負けていたのか」と分かる不思議な実感。

 

この感情こそ「勝ち」でも「負け」でもない人生第三の視点、「思い出し負け」なのだろう。

 

こうして今でこそ分かったあの違和感の正体も、

 

当時の僕には想像の付かない事であった。

 

 

 

 

 

あの日の夜、長時間やりすぎだと叱られ、ふてくされながらスパロボの電源を切った。

 

布団に転がり込み、おもむろにケータイを開きテトリスの画面を呼び出す。

 

やはりこの日も、長い棒はなかなか来なかった。

【注釈】ドルヲタ落語「寿限無」・人物紹介

ののた(①)、ののた、まいにゃ(②)のみーちゃん(③)

溝呂木世蘭(④)の志村理佳(⑤)、平野沙羅(⑥)、三品瑠香(⑦)、

てちねる(⑧)欅に乃木蘭世(⑨)、

星来(⑩)二葉(⑪)の脇(⑫)二葉(⑬)、

ののこ(⑭)、ののこ、ののこの奥津マリリ(⑮)、

奥津マリリのゆうな社長(⑯)、ゆうな社長の

生田絵梨花(⑰)の生田衣梨奈(⑱)の東理紗(⑲)の高井千帆(⑳)の麗愛ちゃん(㉑)

①ののた

【名前・グループ】

奥村野乃花(おくむらののか)/虹のコンキスタドール

【対応部分】

「虹のような多彩な~」→グループ名より抜粋。

②まいにゃ

【名前・グループ】

南端まいな(みなみばたまいな)/アイドルネッサンス

【対応部分】

「継続力」→毎日ブログを更新し続け1000回を突破したことから。

③みーちゃん

【名前・グループ】

長谷川瑞(はせがわみずき)/つりビット

【対応部分】

「趣味を奥深く楽しむ~」→アイドル活動と並行して本格的に釣りをしている事から。

溝呂木世蘭

【名前・グループ】

溝呂木世蘭(みぞろぎせらん)/Cheeky Parade

【対応部分】

「適度な小生意気さ」→グループのコンセプトが「ちょっと小生意気なダンス&ファッション」であるため

志村理佳

【名前・グループ】

志村理佳(しむらりか)/SUPER☆GiRLS

【対応部分】

「丁度いいバカさ」→「天使の笑顔のおバカさん」というキャッチコピーから

⑥平野沙羅

【名前・グループ】

平野沙羅(ひらのさら)/GEM

【対応部分】

「宝石のような~」→GEM=宝石の意から。

⑦三品瑠香

【名前・グループ】

三品瑠香(みしなるか)/わーすた

【対応部分】

「世界標準の~」→グループ名の由来「World Standard」から

⑧てちねる

【名前・グループ】

てち:平手友梨奈(ひらてゆりな(右))/欅坂46

ねる:長濱 ねる(ながはまねる(左))/欅坂46

【対応部分】「欅のように~」→グループ名から。

⑨蘭世

【名前・グループ】

寺田蘭世(てらだらんぜ)/乃木坂46

【対応部分】

「古の名将」→「乃木坂」の由来が「乃木希典」であるため。

⑩星来⑪二葉⑫脇⑬二葉

【名前・グループ】

星来:上西星来(じょうにしせいら)/東京パフォーマンスドール

二葉:橘二葉(たちばなふたば)/東京パフォーマンスドール

脇:脇あかり(わきあかり)/東京パフォーマンスドール

【対応部分】

「舞踊の技術とそれを叶える体力」→グループの特徴であるダンスサミットネイキッド(休憩なしパフォーマンス)から。

上西星来

橘二葉

脇あかり

⑭ののこ

【名前・グループ】

ののこ/GALETTE

【対応部分】

「包み込めるような包容力」→「ファンを包み込めるような魅力的なグループになりたい」というグループ名に込められた想いから

⑮奥津マリリ

【名前・グループ】

奥津マリリ(おくつまりり)/フィロソフィーのダン

【対応部分】

「哲学」→「フィロソフィー」=「哲学」から。

⑯ゆうな社長

【名前・グループ】

沖口優奈(おきぐちゆうな)/マジカル・パンチライン

【対応部分】

「魔法のように誰もを笑顔に~」→グループのコンセプトが魔法。そして本人のお笑い担当的なキャラから。

生田絵梨花

【名前・グループ】

生田絵梨花(いくたえりか)/乃木坂46

【対応部分】

「楽器を通して~」→本人がピアノを特技としているため。

生田衣梨奈

【名前・グループ】

生田衣梨奈(いくたえりな)/モーニング娘。16

【対応部分】

「立ち向かっていく前向きさ」→加入当初の歌もダンスも苦手な所から腐らずサブリーダーにまで躍進したメンタルの強さから。

⑲東理紗

【名前・グループ】

東理紗(ひがしりさ)/生ハムと焼きうどん

【対応部分】

対応部分なし。

⑳高井千帆

【名前・グループ】

高井千帆(たかいちほ)/ロッカジャポニカ

【対応部分】

「数値を通して世界を解き明かす~」→「あなたと生きる学習帳!」という学習コンセプトのグループであり、なおかつ本人が数学にまつわる曲で主役とされていることから。

㉑麗愛ちゃん

【名前・グループ】

橋本麗愛(はしもとれな)/AIS

【対応部分】

「大胆で自由な表現力」→ブログに定評があることから。

読むドルヲタ落語「寿限無」

出囃子(overture)

(※寿限無のあらすじ

ある夫婦に子供が生まれてその子の名前をお寺の和尚さんにつけてもらおうと思いつきました。和尚さんにお目出たい名前をお願いしたところたくさんの言葉を教えてくれました。それを全部つなげて1つの名前にしてしまった。)

<文字数→約5000/読了目安→5~10分>

え~、

最近気になる言葉の一つに「キラキラネーム」なるものがございます。

なにやら聞くところによりますと、

やっとの思いで赤子をこしらえたはいいものの、

ちょいと個性にこだわり過ぎて、

一見さんにはまるで読めねえ珍妙な名前が。

…なんて事が、日本各地で日々起こっているということです。

簡単に例を出すと、

「黄熊」で「ぷう」

「七音」で「どれみ」

「宇宙」で「あーす」

「聖戦」で「じはーど」

…と、挙げれば枚挙に暇がございません。

まぁたしかに、

経緯はどうあれ、せっかく自分達のもとへ生まれてきてくれた赤子。

当然できるだけ幸せに育ってほしいものです。

…と、かくして思いが溢れだし、

空回った結果としてこのような地方のヤンキーが考えた当て字みたいな名前が生まれてしまう訳ですが…

え?なに?

そんな話、銀河系を代表する非モテのエリート部族ことアイドルヲタクには一切関わり合いがねぇだろって?

なぁにを仰いますか。

「求むな、さらば与えられん。」

いくらドルヲタといえど、ひょんなことからリアル結婚を果たす例もございます。

決して女ヲタヲタなんて野暮なマネをせずとも、

「好きな趣味に没頭している貴方の少年のような瞳が好き!」

なんて物好きな女も、この世には一定数存在しているわけでして。

そりゃあ男の方もドルヲタなんぞやってるくらいですから心は純粋、性根は純正。

CD積むのが忙しく、

博打なんぞ覚える暇なくここまできちまった奴が大半でございます。

更に年中推し変して浮気癖があるように見えましても、

一度身を固めたらそこは生粋の生真面目男、

握手やチェキはループすれども、

一線を超える過ちなど、犯す勇気もございません。

≪おい…おいアンタ!起きとくれよ!≫

「お?な、なんだ、もう晩飯か?」

≪なぁにを寝ぼけているんだよ!飯ならさっき食ったばかりだろう、

もう、しっかりしとくれよ!

それより、今日は何の日だとおもってるんだい?≫

「きょ、今日?あれ?どっかで熱めなリリイベとかあったっけ?」

≪勘弁してくれよ、結婚してもいつまでも現役バリバリの現場ヲタ気分でいられたらこっちもたまったもんじゃないよ、

今日は私たちの子供がやっと生まれてからちょうど七日目。

"お七夜"ってんで名前を付けるのに絶好の日じゃないの、

いつまでも"名無しのごんべ"じゃ困るでしょう!?≫

「あぁ…いわれてみればたしかにそうだったな

よし、じゃあとりあえず今は適当に"MIX打ち太郎"とでも名付けておけば…」

≪バカ言うんじゃないよ!

その子にとっちゃ一生背負うことになる名前だよ?

そんな各界隈で物議を醸しそうな名前付けられるもんかい!≫

「そ、そうかい?」

≪あったりまえだよ!

もうアンタのネーミングセンスの無さにはガッカリだよ。

考えてみればアンタ、語彙が少ないからブログもツイッターも吐く言葉がワンパターンだったもんねぇ、

それでよく握手レポなんぞやってたもんだよ≫

「う、うるせぇ!人のSNSに口出しするんじゃねぇやっ!

あぁ分かった分かった!

オメェは昔から俺のやる事なす事、接触、積み方、推しメン、推し箱…ぜんぶにイチャモンつけてきやがったからな!

どうせその子の名前だって、俺が出す案には耳も貸さないんだろ?

そうだ!そんなに俺のことが信用できないんならな、

ちょいと今から寺の和尚さまの所に行って縁起のいい名前をもらってきてやろうじゃねぇか」

≪ふ~ん、でも高貴な和尚さまがアンタなんかの相談に取り合ってくれるかねぇ?≫

「へん!俺様の人脈を嘗めんじゃねぇ!

ちっとばかし待っとけ!感動と興奮とエモさで見た瞬間ひっくり返るような名前を貰ってきてやる!」

≪ちゃんと晩飯までには帰るんだよ~ノシ≫

「うっせぇ!古臭ぇAAを使うんじゃねぇっ!」

かくして旦那、一目散に家を出た。

遥か先に居を構える幽玄な佇まいの由緒正しき寺目指し、

気になる現場も泣く泣く干して、

ボルトからっきょか韋駄天か、

メロスを追い越しひた走る。

\ドン!ドン!ドン!/

「おーい!和尚さまは居るかい?

おーい!開けてくれよぉ!おーい!」

\ドン!ドン!ドン!…カッ!/

『なんだぃこんな時間に騒々しい!

こっちが黙ってりゃ人んちの戸をナムコリズムゲームみたく好き勝手叩きおって!』

「お!和尚さま!久しぶりじゃねぇか!

オレだよ、オレ!下腹(ゲバラ)だよ!」

『おぉ、どこの遠征ピンチケかと思ったら下腹じゃないか!

実に久しいなぁ!

ま、立ち話もナンだ。お上がりなさいな。』

「いやぁ、突然悪いねぇ和尚さま」

『水臭いことを言うんじゃないよ、

TIFで一緒にスカイステージまで登り切った仲じゃないか』

「懐かしいねぇ、

あの日の絶景と推しレスを貰った和尚の笑顔ときたら、

生涯忘れたくても忘れらんねぇってなもんだ!」

『ふふ…みなまで言うでない、

おっと…ところで今日はどうした?

生写真を交換する約束でもしてたかの?』

「いや、今日はドル関係じゃないんだがね、

まぁ個人的なことで申し訳ないんだがよ、

この度子宝に恵まれまして、

どうか言葉に博識で縁起に詳しい和尚さまに、

やや子の名前を考えてほしいなと思い馳せ参じたってなワケでさぁ。」

『ほほぉ!お前さんに子供!

なんといやまぁ捨てる神あれば拾う神ありというか、

世も末というか、あえて産むタイプの新しい結婚詐欺疑惑というか。』

「…ずいぶんとまぁご挨拶だねぇ。

まぁ確かにガチ恋拗らせて

(〇〇ちゃんがオレを見てくれないならオレもう〇ぬ!!)

とか言ってた頃から考えたらあり得ない話だわな」

『そうだなぁ、

その様を近くで見てきた分、ワシも色々感慨深いってなもんだ!

どれ、ワシでよければいっちょ一肌脱いでやるとしよう』

「忍びねぇな」

『構わんよ。

ところで、子供ってな男の子かい?女の子かい?』

「ん~と、たしか女の子だったな!」

『"たしか"とは無責任だねぇ

まぁいい。

名を決めるにはそこに”どう育ってほしいか”っていう強い願いがなきゃいけねぇ。

どれ、お前さんはその子の育ちに何を願うんだい?』

「ん~、そうさねぇ…

生来無欲なもんでさしたる願いもねぇんだが強いて言うなら…

のように多彩な魅力があるといいな、

たとえば…

物事をコツコツ続けられる継続力と、

趣味を奥深く楽しむ豊かな感性、

時流に流されないよう適度な小生意気さもあって、

人から愛される丁度いいバカさも欲しい。

それに、

宝石のような瞳が映える世界標準の美しさ。

あとは、

のように強く頑丈な体と、

古の名将を思わせる慧眼、

更に、

人々を魅了できる舞踊の技術とそれを叶える体力

加えて、

愛する人を優しく包み込めるような包容力や、

揺るがぬ自分なりの哲学

あ、魔法のように誰もを笑顔にできるユーモアも捨てがたいな。

そして、

楽器を通して自己表現できるような音楽の才に、

苦手なことにも物怖じせず立ち向かっていく前向きさ

数値を通して世界を解き明かすような論理力。

最後に、

型や手法にとらわれない大胆で自由な表現力

まぁ、少ないようだが願いといえばこのくらいだな。」

『いや、充分多いと思うけどな…

まぁいい、じゃあ今から各願いに応じた名前の候補を教えてやろう

それをありったけメモに控えて持ち帰り、

あとでその中からどれにするかじっくり選んだらいいさ』

「たびたび忍びねぇな」

『構わんよ』

ってな訳で、

ひたすら願いに沿った名前を教える和尚と、

逐一逃さず書き取る下腹。

見る見る間に名前の候補が挙がってゆくと、

「これだけありゃ大丈夫だ」と手を打ち立ち上がり、

胸弾む想いで帰路についた。

改めて一人座して顎に手をやり、

書き溜めた名前を見ながらじっくりと考えを巡らせる。

「これもいいな…あ、こっちも捨てがたい!」

さて、

ここから先は大方皆さんも予想が付くかと思いますが、

この男、欲張りすぎて和尚に貰った名前を全部子供に付けちまった。

「お~い!和尚さま!

こないだは本当に助かったよ!」

『おぉ、下腹!

どうやら無事に名前は決まったようだな。

どれ、ちょうど気になっていたんだ。

なんという名になったかワシにも教えてくれよ』

「あぁ、その赤子なんだがな、

”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の東理紗の高井千帆の麗愛ちゃん”

…って名前に決まったよ!」

『………ちょっと長くないか?

ま、まぁワシが考えた名前を全部付けてくれたってのは嬉しいが、

ひとつ気になる事がある。』

「はて、なんでしょう?」

『お前の娘の…

ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の東理紗の

…の"東理沙"の部分だがな、

ワシはその名前は言ってないぞ』

「あぁ、ちょうど命名する日の朝食が卵かけご飯だったもんで!

あと生うどん面白いし!」

『あんな汚い言葉を使ったコントばっかりやるようなグループから名前を取るのはやめろ!

安易に気を衒っただけの色物にいつまでも惑わされるでない!

絶対に、

"ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の高井千帆の麗愛ちゃん"

…の方がいい!』

「黙って聞いてれば何を言いますか和尚さま!

生うどんは一見ただ若い女の子が汚い言葉を使って振り切ったコントをするだけの色物に見せておいて、

尺に合わせて計算された間、

客層に合わせてネタを変えられる柔軟性、

若き日のとんねるずを思わせるアグレッシブすぎる素人イジり、

最前管理委員会など即座に時事ネタをコントに織り込んで、ヲタクの意思を風刺として代弁してくれる器のデカさ、

それらを全てセルフプロデュースの名の下に、

なんの後ろ盾もなく自らが最前線で考えながら闘っているところに他では味わえない極上のカッコよさがあるんですよ!

丁度もうすぐ10月21日に東京ドームシティホールで開催される3rdワンマンライブも楽しみだしね!

だから名前は絶対に、

”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の東理紗の高井千帆の麗愛ちゃん”

…で決定です」

『いや途中から完全に著者の個人的な意見じゃないか!

さりげなく告知入ってるし!

しかし言葉を扱う身分としてワシは認めんぞ、

絶対に、

”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の高井千帆の麗愛ちゃん”

の方がイイに決まっている!』

「いーや、いくら和尚さまといえどもここは譲れないね!

名前は

”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの奥津マリリ

奥津マリリのゆうな社長、ゆうな社長の

生田絵梨花生田衣梨奈の東理紗の高井千帆の麗愛ちゃん”

で決定だ!」

『いーや、”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に乃木蘭世

星来二葉の脇二葉

ののこ、ののこ、ののこの…』

「いや断然、”ののた、ののた、まいにゃのみーちゃん

溝呂木世蘭志村理佳、平野沙羅、三品瑠香

てちねる欅に…」

『いやそこはあえて逆に…』

「はぁ…はぁ…まったくこれじゃラチが明かねぇ。

よし、こうなりゃ潔くツイッターのアンケート機能で決めよう!

って…えっ!?マジかッ!?」

『ど、どうした下腹?新情報か!?』

あんまり名前が長ぇんで、

新メンバーが来ちまった。

おあとがよろしいようで。

【終】

”読む”ドルヲタ落語「雛鍔」

overture(出囃子)

≪文字数→約7000文字/読了目安→5~10分≫

(※原作『雛鍔』の簡単なあらすじはこちらからどうぞ)

え~、

どうも毎度格別のお引き立てを賜り、厚くお礼申し上げます。

まぁ"毎度"と言っても実に更新の不規則なこのブログ。

気付けば歳はとるわ、花は枯れるわ、衣服は伸びるわ、推しは卒業するわで、

「光陰矢の如し」なんて言葉の意味をしみじみ噛み締める今日この頃でございます。

えぇ~、しかしなんですかネ、

思えばこのブログにしたって何にしたって、

物事を始めた当初の心境というのは、実に純粋で美しいものです。

下手な先入観もなく謙虚なモンで、

そもそも私利私欲や助平心なんてェのは、生まれる隙がございません。

ところが人間の脳ってのは、

たいがい都合の悪い記憶と物事の初心を全自動で忘れるようにできているものです。

子から大人になるにつれ新たな事柄に「慣れる」のは一向に構いませんが、

同じ「なれ」でも「狎れ」ちゃあイケません。

趣味、運動、人間関係から勉学、娯楽、放蕩の類に至るまで、

初めて触れた際の感動を忘れず、

決して眼前の幸福を「あって当然」と思わない心構えというものが大切です。

それにしても、「知らぬが仏」たぁよく言ったモンです。

っていうのもネ、

思うに物の価値なんてぇのは、時として見抜けないくらいが丁度良いモンで…

「あーあ、ヲタクやめたくなっちゃったなぁ、」

<どしたィ、オメェらしくもない。

曲目当てと言いつつヌルヲタDDをズルズル続け、

各界隈をあっちへフラフラ、こっちへフラフラうろつき回り、

口では無欲と語りながら些細なレスや認知に一喜一憂する凡ヲタっぷりを隠せず、

暇人が過ぎて始めたネタツイ・ブログで何人かの暖かい人達が気を遣って付けてくれたふぁぼや高評価を真に受けて図に乗り、

すっかりなんちゃってクリエイター気取りの馬面亭下腹(うまづらてい げばら)らしくねぇじゃねぇか、シャッキリしろぃ!>

下「おいそれ以上俺の…というか著者の悪口を言うのはやめろぃ!

これで…というか、あれで意外とデリケートなんだからよっ!

それに、”楽曲派”なんざぁ便利な言葉を隠れ蓑にして、

いい歳こいて年端もいかねぇ女児を追いかけてるオメェはどうなんだぃ!」

楽<フフフ…いいか下腹?

楽曲派の"楽"は、「楽しむ」の"楽"だ。

…つまりそういうこったぃ。>

下「したり顔でなにを言ってんだかコイツは。」

楽<それよりもよぉ、

さっきの話はどういうこった?

最近は特にオメェの推しに事件や卒業もなかっただろうし、

よければミニライブの開演待ちの暇つぶしに、サクッと事情を聞かせてくれよ>

下「オメェは正直が過ぎていつも一言多いな…まぁいいや。

こないだな、アイドルについて何にも知らない友人を推し箱の現場に連れてったんだ」

楽<お!新規を呼んで布教活動かい?熱心なこった!>

下「まぁ話は最後まで聞けよ。

そこでな、あまりの感覚の違いにビックリしちまう事があってよぉ…」

下「おい、あんまウロウロすんなィ!

土日のショッピングモールイベはヲタと家族連れが入り乱れるカオス現場なんだからな

アリオりはべり、モリタウン。千里の道もセルシーから…ってなモンで、

モールイベも実に奥が深…」

新『ふ~ん、これがアイドルのイベントかい。はじめて来たから色々と新鮮だネ』

下「ってなんも聞いてねぇでやんの。

まぁそうだよな、

アイドルに関してなんの知識もないド新規のオメェからしたら、

目に映る何もかもが新鮮だよな。

にしても今日は礼を言うぜ。

なんてったって貴重な休日に、

"ちょっくらアイドルのイベント見に行かないか?"なんて、

けったいな誘いに二つ返事で乗ってくれたんだからよォ」

新『いやいや、僕もうっすら気になってたから丁度よかったさ。

それより…』

下「ん、どうした?」

新『あの後ろの方でひたすらジャンプしている人達はなんだ?

高く飛べるほどモテるのか?』

下「アレはマサイといって…ん~、たしかにパロディ元の国ではそうなんだが…

逆に日本では、飛べば飛ぶほど周囲に引かれる傾向があるな。」

新『ふ~ん、そうなのか。

あ、おい!なんか前の方でこう…手を鳴らしながら、

アイドルをドジョウ掬いみたいに仰いでる奴らがいるぞ!

あれは何なんだ?雨乞いか何かか?』

下「アレは”ケチャ”の派生で”パンケチャ”といってな…

ん~、それも確かにパロディ元の国では正解なんだが、

今の日本では雨じゃなく”レス”っていう、雨粒とは全く別のモノを乞う踊りのひとつだな、うん。」

新『ふ~ん、アイドル界の専門用語は複雑だな。お、何だコレ?』

下「今度はどうしたィ?」

新『おい、なんか変な紙を拾ったぞ』

下「お…ホントだ。(おいおい、こりゃ握手券じゃねぇか)

ん~、たしかにこいつァ変わった紙だ。そんじょそこらじゃ見かけねぇ。

時にオメェ、こいつぁ何だと思う?」

新『う~ん…モールの名前と今日の日付、

それに四角い枠の中にビッシリ文字が書いてあるから…

あ、さてはあれだろ!”お客様の声カード”ってやつだろ!』

下「ほほぉ、そう思うか」

新『ああ、間違いねぇ。

こいつぁ、”客から忌憚のない意見を頂戴する”なんて生易しい名目で出回ったが最後、

時に暇な主婦が家庭内で溜めたストレスを吐き出し、

時に童心に溢れすぎた暇な大学生がボケのつもりで一つも面白くない大喜利をかまし、

時にそれに対する店員さんの鮮やか過ぎる解答がネットでしばしば話題になったりするでお馴染みのアレだろ!

”お客様の声カード”だろ?な?な?』

下「お…おう、いかにもその通りだ(やけに偏見強ェなオイ)」

新『やっぱりか!ネットニュースで取り上げられてるのは見たことあったが、

こうして実物を生で拝めるのは初めてだ!ありがてぇ!

これがお客様の声カードか!なんて神々しい響きだ!!!』

下「そっか、お前んち”超”がつく程の金持ちだモンな。

滅多なことでもないかぎり、ショッピングモールなんて庶民の場には来ないんだよな。

そりゃあ珍しいだろうさ。(よりによってミニライブよりそっちに食いつくかぃ…)」

新『あぁ。ところでこれ誰が書いたか分からんが、たしか専用の投函箱に入れればいいんだよな?』

下「あ、あぁ、そうだが…その前に、ちょっくらその紙を俺に貸してみ…」

新『じゃあパパッと入れてくるんで、ここで待っててくれ!

こういうの一度やってみたかったんでぃ!』

下「あ、オイ!待っ……行っちまったよ。」

下「ってな事があったんだよ、

オメェどう思うよ?」

楽<どうって、どうもこうもねぇだろ。

ヲタクにとっての握手券つったらそりゃもう…

円より元よりユーロより遥かに価値のある最強の貨幣じゃあねぇか>

下「あぁ、やっぱりそうだよな。」

楽<あったりめぇよ!

迷わず$よりドルを選んだ世界基準の現場ヲタ達にとっちゃ、もはや当然といっていい肌感覚だろうよ>

下「だよなぁ、にしても1回たった数秒の握手が世界基準なんて悲しいわ~すたもあったもんだよ」

楽<まぁな。

♪だけど虫ケラヲッタクよわ~い~♪

♪囲みチェキ積めな~い♪>

下「トンチキな替え歌はやめろぃ!

まぁ話を戻すけどよ、

オレたちヲタクももっと考えるべきだと思うんだ」

楽<というと?>

下「今こそ初心に返って一般の目を意識するというか、

たとえばこういう家族連れや一般人がよく通る会場でのリリイベで、

推してるアイドルごと変な目で見られそうな奇行は極力控えていくべ…」

スタッフ「お待たせしましたリハーサル始めま~す」

アイドル「よぉ~し!かなりの高頻度で対バンセトリの後半に差し込みがちな鉄板沸き曲いっくよ~!!!」

下・楽「<あぁ~~~~!!!!!

よっしゃいくぞぉ~~~~~!!!!

\壺!!!/

\数珠!!!/

\アクセ!!!/

\水!!!/

\印鑑!!!/

\布団!!!/

悪徳商法~!!!/ >」

スタッフ「リハーサル終わりま~す」

アイドル「ありがとうございました~本番もよろしくお願いしま~す!」

楽<ふぅ…言ったそばからやっちまったな…>

下「あぁ…

やはり『恋の氷菓子~トイチでCHU!』はベテランの尼さんすらヘドバンさせる超神曲だな…」

楽<あぁ、”氷菓子”と”高利貸し”を掛けるムンク♂のセンスは流石だな>

下「だな。ガチでグループの名前が氷菓子の某正統派カバーユニットもビックリだよ。

って、そういえば今日はアイツ来てねぇのか?」

楽<アイツ?>

下「あぁ、アイツだよ。

東の無銭でガッついて、

西のリリイベではしゃぎ倒し、

ほとんど物販に金落とさない癖に、

増やし過ぎた推し全員に向けて認知とレスとリプとふぁぼを要求する超絶ピンチケのアイツだよ」

楽<あぁ、それならさっきからお前の後ろにいるぞ>

ピ≪チャオ♪≫

下「うわッ!で、出やがったなテメェ!

一体どこから聞いてやがった?」

ピ≪なんにも聞いてねぇさw

ところでその手の"お客様の声カード"、

ひとつオイラにも分けてくれねぇかい?w

…なんてなwフヒャハハハハハwww≫

下「要するに始終盗み聞いてやがったんだなチクショウめ!

誰が大事な握手券をくれてやるもんかよ!

ほら、どっか行きな!しっしっ!」

ピ≪ったく、なんだよつめてぇな。

それじゃ、オイラはダチが管理してる最前に行って優雅に開演待ちといくかね、

ほ~ら、スススのスっと。≫

下「ったく、やっと行きやがった。

にしても腹が立つ奴だぜ」

楽<まぁまぁ、せっかくのリリイベでストレス溜めたって仕方ねぇじゃねぇか、

ほら…出てきた!ミニライブ始まるぞ!ペンラ炊けぃッ!>

下「おうよっ!!!」

下「いやぁ~、30分に良さが凝縮された最高のライブだったなぁ!」

楽<だな!この分なら来年には武道館も目じゃねぇや!

っと、いけねぇ。

ライブに夢中でつい握手券買い忘れてたんで、

特典会が始まる前にちょっくら物販行ってくるわ>

下「おう、美人マネにガッつくんじゃねぇぞ!」

楽<馬鹿言うんじゃねえや!

こちとら生粋のロリコ…楽曲派でぃ!>

下「いやもうほとんど自分で言ってんじゃねぇか…って、行っちまった。

はてさて、こっからはお待ちかねの特典会だね。

今日の残弾は…と、全握1に個別2ってところか。

ちょっと心もとない気もするが、

リリイベもまだまだあと数か月近くは続くってなもんで、

今から頑張り過ぎて発売週に息切れ…なんて恰好が付かねぇもんな」

{ほほぉ全握1に個別2か。}

下「うわッ!い、いきなりなんでぃお前は?

待機列ならここじゃなくてあっちで…」

{寝言いってんじゃねぇ!

お前この顔を忘れたとは言わせねぇぞ!

貸してた3千円、今日こそ返してもらおうか!}

下「あ、あぁ!お前か!

現場被るの久々だったんで軽く顔忘れてたが、ようやっと思い出したぜ。

(ゲゲっ!コイツは…

三度の飯よりグミ…じゃなかった接触が大好きな、

接触生まれ接触育ち、推されてるヲタはだいたい敵視、

その空気を読まな過ぎる鬼ループはヲタどころかアイドル側のモチベすら奪い、

あの和田ア〇子に「あの鍵を閉めるのは貴方」と歌わせたとか歌わせてないみたいな都市伝説すら生まれ、

界隈・現場・地域・国…その他一切関係なく可愛いメンとの接触ある所もれなく隙なく顔を出す、

クソ厄介なキングオブ接触厨じゃねぇかぁあああ)」

接{思い出したか?

ならお前が俺から借りた三千円の事も思い出したよな?}

下「え、あぁ確かに前に借りたなw

あの日はたしか…」

接{地下現場で手売り物販に連番で並んでいた時、

いざお前が推しに金を払うタイミングで財布に手持ちがないことが発覚して、

とっさに後ろにいた俺から3千円借りたこと、今更忘れたなんて言わせねぇからな}

下「あぁ、そういえばそんなこともあった気がするな…うん。」

接{あそこで俺が助けてなかったらお前は推しの前で赤っ恥かいてたところだったんだぞ?

分かるか?

電子マネーに変換しすぎていざっていうときに現金ありませんでした」なんて言い訳、

泣く子も黙るドル物販じゃ通用しねぇんだよ!}

下「おい、著者のヲタ友のリアルエピソードをそれ以上イジるのはやめろ!

せの〇すたぁ現場の舞台上物販でメン・運営・観客の全てにその醜態を晒したなんてこと、

ここでバラすのはやめろよ!ぜったいにやめろよ!

あとこうやって勝手にブログでネタにすると次に現場被った時に著者が気まずいんだよ!」

接{そんなん知ったことか!

さぁ返せよ3千円!

それさえあれば今日俺はあと3回多く接触を積めるんだ!

さぁ出せよ!さぁ!さぁ!さぁ!}

下「うぅ…そんなSURFACEみたいこと言うなよぉ…

あ、残念ながら今日も手持ちがないからさ!

今からATM行ってたら特典会終わっちゃうじゃん?

だからさ、ほら、ちゃんときっちり返せるように返済はまた次回ってことで…」

接{しゃあねぇな、じゃあそれでいいよ}

下「へ?」

接{だからぁ!その手に持ってる握手券3枚の現物返済でいいって言ってんだよ!

オメェさっき自分で声高らかにいってたじゃねぇか

全握1枚に個別2枚、計3枚でちょうど3千円だ。

利息分は消費税でチャラってことにしといてやるよ。

ほら、分かったらさっさとそいつをよこしな。}

下「いや…でもほら…俺のもってるこの握手券赤いじゃん?

だから普通のヲタより3倍速く剥がされちゃうかも…」

接{リリイベ2部用の握手券は全部赤だよ、

3倍なのはオメェの言い訳のバカさだバカ!}

下「うぅ…か、勘弁してくれよぉ…

ちょうど今が推しに認知されるかどうかの大事な時期なんだよぉ…

同じヲタならわかるだろぉ…?」

接{知るかそんなん!

さぁ早くそいつを渡せ!しまいにゃ手が出るぞ!!}

下「うぅ…(くそ、なんとかこの状況を打開する一手はないか…)」

ピ≪こんなも~の拾~った♪こんなも~の拾~った♪≫

下「ピ、ピンチケ!(しめた!コイツいいところに戻ってきやがった!)」

接{あぁ、なんだこいつは?}

ピ≪取り込み中失礼するよ!

なぁ下腹聞いてくれよ、

さっき道端でこんなもの拾ったんだ。

小さい紙に日付とこのショッピングモールの名前、

それに四角い枠の中にびっしり文字が書いてある。

こりゃ一体なにかな?もしかして、お客様の声カードかな?ニヤニヤ≫

下「は、はぁ…どうだかなぁ…(こ、こいつ!さっき盗み聞いた話を悪ノリだけでマネしてやがる…!)」

接{お、おい待てよ…こいつまさか、握手券を知らねぇのか?}

下「(ええい、こうなりゃイチかバチかだ!)

あ、あぁ。

こいつは俺が今日連れてきたCrazy完全な新規でな。

この箱どころかアイドルイベそのものについて全く知識がねぇ。

それどころか、”握手会”っていう概念そのものを知らないから、

当然”握手券”なんて物の存在を知る由もねぇ」

接{そ、そうなのか…

おいお前、さすがに好きなメンバーの一人くらいはいるだろ、

推しは誰なんだ?}

ピ≪”オシ”ってなんだ?

押し寿司のことか?≫

接{ま、まさか、「推し」って言葉から知らないのか!?

こいつぁ驚いた、

在宅ですら…いや、今やアイドルに興味のない一般人ですら知ってるようなもんなのに

”推し”を知らねぇのか…}

下「…(よーしよしよし、なんだか分からんが混乱してるぞ。

あとは隙を見てあの雑多な人混みの中に逃げこんじまえば…)」

接{う、うぉ~んうぉんうぉん!!!}

下「え?お、お前まさか泣いてるのか?」

接{お、俺は間違っていた、

俺も初めて握手会に行った時はもっとピュアに接触ができていたはずだ、

それなのに今はなんだ…

年端もいかぬ美少女に大人気なく身勝手な態度で接し、

よく分からんTwitterネームを自ら名乗って認知を要求し、

1日8周は当たり前のヘビロテループでメンと一般ヲタのメンタルを萎えさせ、

密着を狙うだけの卑しい2チェキ撮影を重ねる…

そんな汚れきった俺に対して、こいつはなんて美しいんだ!}

下「そ、そうか?」

接{当然だ!

こいつはまだ知らないんだ!

さっきまであの舞台上でキラキラ舞い踊っていた彼女たちと触れ合えるという事実を!

金に物を言わせて多少の勝手がまかり通っちまうことを、

こいつはまだ知らないんだ!

なんて…なんて純粋な笑顔なんだ…まさに光り輝いてるよ…

なのに俺は…俺ってやつは…

自分で自分が恥ずかしい…}

下「いや、コイツの顔で光ってるのは金歯だけで、

決して笑顔は綺麗じゃないと思うぞ」

接{うるせぇ!うるせぇ!

金歯だか金馬師匠だか知らねぇがそんなん関係ねぇ!

俺が光ってると言ったもんは光ってるんだ!

よし、俺は決めたぞ!

今日から俺は接触断ちをする。

もう一度あの日の純粋さを取り戻すまで、

決して金を出してアイドルの手を握ろうなんざ思わねぇ!}

下「おいおい本気で言ってるのか?

お前から接触を取り上げるなんて、刺身パックからタンポポを取るようなもんじゃねぇか。

きっと耐えられなくて発狂するぞ?」

接{うるせぇ!男に二言はねぇ!

たとえどんなに金を余らせていようが、

1回1秒1刹那の価値を噛み締められない奴に、

ループで積むような資格はねぇ!

決めた!おい、お前!よければこの握手券、もらってやってくれねぇか?}

下「え?なんだぃ、いいのかい?

それじゃまぁ、お言葉に甘えて…」

接{どけ!お前じゃねぇ!}

下「えぇっ!?」

ピ≪ん、こいつをオイラに?≫

接{あぁ、…つっても握手券を知らねぇのか、

ん~、こいつはな…使う人間を楽しませもするが、

場合によっちゃ悩ませも苦しませもしちまう不思議な代物だ。

だがよ、お前ならきっと清く正しく、

推しのため、そして自分自身の為に真っ当に使ってくれると信じてるぜ!

だからこそほら!こうして俺が今持ってる全ての握手券をお前に託すことにするよ}

下「ひーふーみーよー…おま、これ一体何枚あるんだよ!?

色々欲張りすぎた遊〇王のデッキみたくなってるじゃねぇか!

にしても…ったく、よかったなピンチケ!

これでお前の恒例の…じゃなかった。初めての接触にもハリが出るってもんだい!

そら、ちゃんとソイツに礼を言いな!

んで…お前の言うその"お客様の声カード"っての、いつまで後生大事に握ってるんでぃ

今のうちにちゃちゃっと投函箱に入れてきな!」

ピ≪馬鹿いうな!コイツで新メンにガッつくんだ!!≫

【終】