シングルボーイ下位時代

しょっぱいドルヲタが細々と喋ります

”読む”ドルヲタ落語「雛鍔」

overture(出囃子)

≪文字数→約7000文字/読了目安→5~10分≫

(※原作『雛鍔』の簡単なあらすじはこちらからどうぞ)

え~、

どうも毎度格別のお引き立てを賜り、厚くお礼申し上げます。

まぁ"毎度"と言っても実に更新の不規則なこのブログ。

気付けば歳はとるわ、花は枯れるわ、衣服は伸びるわ、推しは卒業するわで、

「光陰矢の如し」なんて言葉の意味をしみじみ噛み締める今日この頃でございます。

えぇ~、しかしなんですかネ、

思えばこのブログにしたって何にしたって、

物事を始めた当初の心境というのは、実に純粋で美しいものです。

下手な先入観もなく謙虚なモンで、

そもそも私利私欲や助平心なんてェのは、生まれる隙がございません。

ところが人間の脳ってのは、

たいがい都合の悪い記憶と物事の初心を全自動で忘れるようにできているものです。

子から大人になるにつれ新たな事柄に「慣れる」のは一向に構いませんが、

同じ「なれ」でも「狎れ」ちゃあイケません。

趣味、運動、人間関係から勉学、娯楽、放蕩の類に至るまで、

初めて触れた際の感動を忘れず、

決して眼前の幸福を「あって当然」と思わない心構えというものが大切です。

それにしても、「知らぬが仏」たぁよく言ったモンです。

っていうのもネ、

思うに物の価値なんてぇのは、時として見抜けないくらいが丁度良いモンで…

「あーあ、ヲタクやめたくなっちゃったなぁ、」

<どしたィ、オメェらしくもない。

曲目当てと言いつつヌルヲタDDをズルズル続け、

各界隈をあっちへフラフラ、こっちへフラフラうろつき回り、

口では無欲と語りながら些細なレスや認知に一喜一憂する凡ヲタっぷりを隠せず、

暇人が過ぎて始めたネタツイ・ブログで何人かの暖かい人達が気を遣って付けてくれたふぁぼや高評価を真に受けて図に乗り、

すっかりなんちゃってクリエイター気取りの馬面亭下腹(うまづらてい げばら)らしくねぇじゃねぇか、シャッキリしろぃ!>

下「おいそれ以上俺の…というか著者の悪口を言うのはやめろぃ!

これで…というか、あれで意外とデリケートなんだからよっ!

それに、”楽曲派”なんざぁ便利な言葉を隠れ蓑にして、

いい歳こいて年端もいかねぇ女児を追いかけてるオメェはどうなんだぃ!」

楽<フフフ…いいか下腹?

楽曲派の"楽"は、「楽しむ」の"楽"だ。

…つまりそういうこったぃ。>

下「したり顔でなにを言ってんだかコイツは。」

楽<それよりもよぉ、

さっきの話はどういうこった?

最近は特にオメェの推しに事件や卒業もなかっただろうし、

よければミニライブの開演待ちの暇つぶしに、サクッと事情を聞かせてくれよ>

下「オメェは正直が過ぎていつも一言多いな…まぁいいや。

こないだな、アイドルについて何にも知らない友人を推し箱の現場に連れてったんだ」

楽<お!新規を呼んで布教活動かい?熱心なこった!>

下「まぁ話は最後まで聞けよ。

そこでな、あまりの感覚の違いにビックリしちまう事があってよぉ…」

下「おい、あんまウロウロすんなィ!

土日のショッピングモールイベはヲタと家族連れが入り乱れるカオス現場なんだからな

アリオりはべり、モリタウン。千里の道もセルシーから…ってなモンで、

モールイベも実に奥が深…」

新『ふ~ん、これがアイドルのイベントかい。はじめて来たから色々と新鮮だネ』

下「ってなんも聞いてねぇでやんの。

まぁそうだよな、

アイドルに関してなんの知識もないド新規のオメェからしたら、

目に映る何もかもが新鮮だよな。

にしても今日は礼を言うぜ。

なんてったって貴重な休日に、

"ちょっくらアイドルのイベント見に行かないか?"なんて、

けったいな誘いに二つ返事で乗ってくれたんだからよォ」

新『いやいや、僕もうっすら気になってたから丁度よかったさ。

それより…』

下「ん、どうした?」

新『あの後ろの方でひたすらジャンプしている人達はなんだ?

高く飛べるほどモテるのか?』

下「アレはマサイといって…ん~、たしかにパロディ元の国ではそうなんだが…

逆に日本では、飛べば飛ぶほど周囲に引かれる傾向があるな。」

新『ふ~ん、そうなのか。

あ、おい!なんか前の方でこう…手を鳴らしながら、

アイドルをドジョウ掬いみたいに仰いでる奴らがいるぞ!

あれは何なんだ?雨乞いか何かか?』

下「アレは”ケチャ”の派生で”パンケチャ”といってな…

ん~、それも確かにパロディ元の国では正解なんだが、

今の日本では雨じゃなく”レス”っていう、雨粒とは全く別のモノを乞う踊りのひとつだな、うん。」

新『ふ~ん、アイドル界の専門用語は複雑だな。お、何だコレ?』

下「今度はどうしたィ?」

新『おい、なんか変な紙を拾ったぞ』

下「お…ホントだ。(おいおい、こりゃ握手券じゃねぇか)

ん~、たしかにこいつァ変わった紙だ。そんじょそこらじゃ見かけねぇ。

時にオメェ、こいつぁ何だと思う?」

新『う~ん…モールの名前と今日の日付、

それに四角い枠の中にビッシリ文字が書いてあるから…

あ、さてはあれだろ!”お客様の声カード”ってやつだろ!』

下「ほほぉ、そう思うか」

新『ああ、間違いねぇ。

こいつぁ、”客から忌憚のない意見を頂戴する”なんて生易しい名目で出回ったが最後、

時に暇な主婦が家庭内で溜めたストレスを吐き出し、

時に童心に溢れすぎた暇な大学生がボケのつもりで一つも面白くない大喜利をかまし、

時にそれに対する店員さんの鮮やか過ぎる解答がネットでしばしば話題になったりするでお馴染みのアレだろ!

”お客様の声カード”だろ?な?な?』

下「お…おう、いかにもその通りだ(やけに偏見強ェなオイ)」

新『やっぱりか!ネットニュースで取り上げられてるのは見たことあったが、

こうして実物を生で拝めるのは初めてだ!ありがてぇ!

これがお客様の声カードか!なんて神々しい響きだ!!!』

下「そっか、お前んち”超”がつく程の金持ちだモンな。

滅多なことでもないかぎり、ショッピングモールなんて庶民の場には来ないんだよな。

そりゃあ珍しいだろうさ。(よりによってミニライブよりそっちに食いつくかぃ…)」

新『あぁ。ところでこれ誰が書いたか分からんが、たしか専用の投函箱に入れればいいんだよな?』

下「あ、あぁ、そうだが…その前に、ちょっくらその紙を俺に貸してみ…」

新『じゃあパパッと入れてくるんで、ここで待っててくれ!

こういうの一度やってみたかったんでぃ!』

下「あ、オイ!待っ……行っちまったよ。」

下「ってな事があったんだよ、

オメェどう思うよ?」

楽<どうって、どうもこうもねぇだろ。

ヲタクにとっての握手券つったらそりゃもう…

円より元よりユーロより遥かに価値のある最強の貨幣じゃあねぇか>

下「あぁ、やっぱりそうだよな。」

楽<あったりめぇよ!

迷わず$よりドルを選んだ世界基準の現場ヲタ達にとっちゃ、もはや当然といっていい肌感覚だろうよ>

下「だよなぁ、にしても1回たった数秒の握手が世界基準なんて悲しいわ~すたもあったもんだよ」

楽<まぁな。

♪だけど虫ケラヲッタクよわ~い~♪

♪囲みチェキ積めな~い♪>

下「トンチキな替え歌はやめろぃ!

まぁ話を戻すけどよ、

オレたちヲタクももっと考えるべきだと思うんだ」

楽<というと?>

下「今こそ初心に返って一般の目を意識するというか、

たとえばこういう家族連れや一般人がよく通る会場でのリリイベで、

推してるアイドルごと変な目で見られそうな奇行は極力控えていくべ…」

スタッフ「お待たせしましたリハーサル始めま~す」

アイドル「よぉ~し!かなりの高頻度で対バンセトリの後半に差し込みがちな鉄板沸き曲いっくよ~!!!」

下・楽「<あぁ~~~~!!!!!

よっしゃいくぞぉ~~~~~!!!!

\壺!!!/

\数珠!!!/

\アクセ!!!/

\水!!!/

\印鑑!!!/

\布団!!!/

悪徳商法~!!!/ >」

スタッフ「リハーサル終わりま~す」

アイドル「ありがとうございました~本番もよろしくお願いしま~す!」

楽<ふぅ…言ったそばからやっちまったな…>

下「あぁ…

やはり『恋の氷菓子~トイチでCHU!』はベテランの尼さんすらヘドバンさせる超神曲だな…」

楽<あぁ、”氷菓子”と”高利貸し”を掛けるムンク♂のセンスは流石だな>

下「だな。ガチでグループの名前が氷菓子の某正統派カバーユニットもビックリだよ。

って、そういえば今日はアイツ来てねぇのか?」

楽<アイツ?>

下「あぁ、アイツだよ。

東の無銭でガッついて、

西のリリイベではしゃぎ倒し、

ほとんど物販に金落とさない癖に、

増やし過ぎた推し全員に向けて認知とレスとリプとふぁぼを要求する超絶ピンチケのアイツだよ」

楽<あぁ、それならさっきからお前の後ろにいるぞ>

ピ≪チャオ♪≫

下「うわッ!で、出やがったなテメェ!

一体どこから聞いてやがった?」

ピ≪なんにも聞いてねぇさw

ところでその手の"お客様の声カード"、

ひとつオイラにも分けてくれねぇかい?w

…なんてなwフヒャハハハハハwww≫

下「要するに始終盗み聞いてやがったんだなチクショウめ!

誰が大事な握手券をくれてやるもんかよ!

ほら、どっか行きな!しっしっ!」

ピ≪ったく、なんだよつめてぇな。

それじゃ、オイラはダチが管理してる最前に行って優雅に開演待ちといくかね、

ほ~ら、スススのスっと。≫

下「ったく、やっと行きやがった。

にしても腹が立つ奴だぜ」

楽<まぁまぁ、せっかくのリリイベでストレス溜めたって仕方ねぇじゃねぇか、

ほら…出てきた!ミニライブ始まるぞ!ペンラ炊けぃッ!>

下「おうよっ!!!」

下「いやぁ~、30分に良さが凝縮された最高のライブだったなぁ!」

楽<だな!この分なら来年には武道館も目じゃねぇや!

っと、いけねぇ。

ライブに夢中でつい握手券買い忘れてたんで、

特典会が始まる前にちょっくら物販行ってくるわ>

下「おう、美人マネにガッつくんじゃねぇぞ!」

楽<馬鹿言うんじゃねえや!

こちとら生粋のロリコ…楽曲派でぃ!>

下「いやもうほとんど自分で言ってんじゃねぇか…って、行っちまった。

はてさて、こっからはお待ちかねの特典会だね。

今日の残弾は…と、全握1に個別2ってところか。

ちょっと心もとない気もするが、

リリイベもまだまだあと数か月近くは続くってなもんで、

今から頑張り過ぎて発売週に息切れ…なんて恰好が付かねぇもんな」

{ほほぉ全握1に個別2か。}

下「うわッ!い、いきなりなんでぃお前は?

待機列ならここじゃなくてあっちで…」

{寝言いってんじゃねぇ!

お前この顔を忘れたとは言わせねぇぞ!

貸してた3千円、今日こそ返してもらおうか!}

下「あ、あぁ!お前か!

現場被るの久々だったんで軽く顔忘れてたが、ようやっと思い出したぜ。

(ゲゲっ!コイツは…

三度の飯よりグミ…じゃなかった接触が大好きな、

接触生まれ接触育ち、推されてるヲタはだいたい敵視、

その空気を読まな過ぎる鬼ループはヲタどころかアイドル側のモチベすら奪い、

あの和田ア〇子に「あの鍵を閉めるのは貴方」と歌わせたとか歌わせてないみたいな都市伝説すら生まれ、

界隈・現場・地域・国…その他一切関係なく可愛いメンとの接触ある所もれなく隙なく顔を出す、

クソ厄介なキングオブ接触厨じゃねぇかぁあああ)」

接{思い出したか?

ならお前が俺から借りた三千円の事も思い出したよな?}

下「え、あぁ確かに前に借りたなw

あの日はたしか…」

接{地下現場で手売り物販に連番で並んでいた時、

いざお前が推しに金を払うタイミングで財布に手持ちがないことが発覚して、

とっさに後ろにいた俺から3千円借りたこと、今更忘れたなんて言わせねぇからな}

下「あぁ、そういえばそんなこともあった気がするな…うん。」

接{あそこで俺が助けてなかったらお前は推しの前で赤っ恥かいてたところだったんだぞ?

分かるか?

電子マネーに変換しすぎていざっていうときに現金ありませんでした」なんて言い訳、

泣く子も黙るドル物販じゃ通用しねぇんだよ!}

下「おい、著者のヲタ友のリアルエピソードをそれ以上イジるのはやめろ!

せの〇すたぁ現場の舞台上物販でメン・運営・観客の全てにその醜態を晒したなんてこと、

ここでバラすのはやめろよ!ぜったいにやめろよ!

あとこうやって勝手にブログでネタにすると次に現場被った時に著者が気まずいんだよ!」

接{そんなん知ったことか!

さぁ返せよ3千円!

それさえあれば今日俺はあと3回多く接触を積めるんだ!

さぁ出せよ!さぁ!さぁ!さぁ!}

下「うぅ…そんなSURFACEみたいこと言うなよぉ…

あ、残念ながら今日も手持ちがないからさ!

今からATM行ってたら特典会終わっちゃうじゃん?

だからさ、ほら、ちゃんときっちり返せるように返済はまた次回ってことで…」

接{しゃあねぇな、じゃあそれでいいよ}

下「へ?」

接{だからぁ!その手に持ってる握手券3枚の現物返済でいいって言ってんだよ!

オメェさっき自分で声高らかにいってたじゃねぇか

全握1枚に個別2枚、計3枚でちょうど3千円だ。

利息分は消費税でチャラってことにしといてやるよ。

ほら、分かったらさっさとそいつをよこしな。}

下「いや…でもほら…俺のもってるこの握手券赤いじゃん?

だから普通のヲタより3倍速く剥がされちゃうかも…」

接{リリイベ2部用の握手券は全部赤だよ、

3倍なのはオメェの言い訳のバカさだバカ!}

下「うぅ…か、勘弁してくれよぉ…

ちょうど今が推しに認知されるかどうかの大事な時期なんだよぉ…

同じヲタならわかるだろぉ…?」

接{知るかそんなん!

さぁ早くそいつを渡せ!しまいにゃ手が出るぞ!!}

下「うぅ…(くそ、なんとかこの状況を打開する一手はないか…)」

ピ≪こんなも~の拾~った♪こんなも~の拾~った♪≫

下「ピ、ピンチケ!(しめた!コイツいいところに戻ってきやがった!)」

接{あぁ、なんだこいつは?}

ピ≪取り込み中失礼するよ!

なぁ下腹聞いてくれよ、

さっき道端でこんなもの拾ったんだ。

小さい紙に日付とこのショッピングモールの名前、

それに四角い枠の中にびっしり文字が書いてある。

こりゃ一体なにかな?もしかして、お客様の声カードかな?ニヤニヤ≫

下「は、はぁ…どうだかなぁ…(こ、こいつ!さっき盗み聞いた話を悪ノリだけでマネしてやがる…!)」

接{お、おい待てよ…こいつまさか、握手券を知らねぇのか?}

下「(ええい、こうなりゃイチかバチかだ!)

あ、あぁ。

こいつは俺が今日連れてきたCrazy完全な新規でな。

この箱どころかアイドルイベそのものについて全く知識がねぇ。

それどころか、”握手会”っていう概念そのものを知らないから、

当然”握手券”なんて物の存在を知る由もねぇ」

接{そ、そうなのか…

おいお前、さすがに好きなメンバーの一人くらいはいるだろ、

推しは誰なんだ?}

ピ≪”オシ”ってなんだ?

押し寿司のことか?≫

接{ま、まさか、「推し」って言葉から知らないのか!?

こいつぁ驚いた、

在宅ですら…いや、今やアイドルに興味のない一般人ですら知ってるようなもんなのに

”推し”を知らねぇのか…}

下「…(よーしよしよし、なんだか分からんが混乱してるぞ。

あとは隙を見てあの雑多な人混みの中に逃げこんじまえば…)」

接{う、うぉ~んうぉんうぉん!!!}

下「え?お、お前まさか泣いてるのか?」

接{お、俺は間違っていた、

俺も初めて握手会に行った時はもっとピュアに接触ができていたはずだ、

それなのに今はなんだ…

年端もいかぬ美少女に大人気なく身勝手な態度で接し、

よく分からんTwitterネームを自ら名乗って認知を要求し、

1日8周は当たり前のヘビロテループでメンと一般ヲタのメンタルを萎えさせ、

密着を狙うだけの卑しい2チェキ撮影を重ねる…

そんな汚れきった俺に対して、こいつはなんて美しいんだ!}

下「そ、そうか?」

接{当然だ!

こいつはまだ知らないんだ!

さっきまであの舞台上でキラキラ舞い踊っていた彼女たちと触れ合えるという事実を!

金に物を言わせて多少の勝手がまかり通っちまうことを、

こいつはまだ知らないんだ!

なんて…なんて純粋な笑顔なんだ…まさに光り輝いてるよ…

なのに俺は…俺ってやつは…

自分で自分が恥ずかしい…}

下「いや、コイツの顔で光ってるのは金歯だけで、

決して笑顔は綺麗じゃないと思うぞ」

接{うるせぇ!うるせぇ!

金歯だか金馬師匠だか知らねぇがそんなん関係ねぇ!

俺が光ってると言ったもんは光ってるんだ!

よし、俺は決めたぞ!

今日から俺は接触断ちをする。

もう一度あの日の純粋さを取り戻すまで、

決して金を出してアイドルの手を握ろうなんざ思わねぇ!}

下「おいおい本気で言ってるのか?

お前から接触を取り上げるなんて、刺身パックからタンポポを取るようなもんじゃねぇか。

きっと耐えられなくて発狂するぞ?」

接{うるせぇ!男に二言はねぇ!

たとえどんなに金を余らせていようが、

1回1秒1刹那の価値を噛み締められない奴に、

ループで積むような資格はねぇ!

決めた!おい、お前!よければこの握手券、もらってやってくれねぇか?}

下「え?なんだぃ、いいのかい?

それじゃまぁ、お言葉に甘えて…」

接{どけ!お前じゃねぇ!}

下「えぇっ!?」

ピ≪ん、こいつをオイラに?≫

接{あぁ、…つっても握手券を知らねぇのか、

ん~、こいつはな…使う人間を楽しませもするが、

場合によっちゃ悩ませも苦しませもしちまう不思議な代物だ。

だがよ、お前ならきっと清く正しく、

推しのため、そして自分自身の為に真っ当に使ってくれると信じてるぜ!

だからこそほら!こうして俺が今持ってる全ての握手券をお前に託すことにするよ}

下「ひーふーみーよー…おま、これ一体何枚あるんだよ!?

色々欲張りすぎた遊〇王のデッキみたくなってるじゃねぇか!

にしても…ったく、よかったなピンチケ!

これでお前の恒例の…じゃなかった。初めての接触にもハリが出るってもんだい!

そら、ちゃんとソイツに礼を言いな!

んで…お前の言うその"お客様の声カード"っての、いつまで後生大事に握ってるんでぃ

今のうちにちゃちゃっと投函箱に入れてきな!」

ピ≪馬鹿いうな!コイツで新メンにガッつくんだ!!≫

【終】