シングルボーイ下位時代

しょっぱいドルヲタが細々と喋ります

読むドルヲタ落語「虹助提灯(権助提灯)」

overture(出囃子)

 


出囃子 藤娘 古今亭志ん五

 

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(※元ネタ「権助提灯(ごんすけちょうちん)」のあらすじ

 

 とある金持ちの旦那には、妻とは別に親しくしている女がいた。

物分かりがいい妻は女の存在を知りつつもこれを許し、一方浮気相手の女もそんな本妻の意図を汲み、なるべく事を荒立てぬよう振る舞った。

かくして旦那、本妻と女の家に交互に泊まっても家庭は円満という羨ましい身の上だ。

 

ある夜、旦那が本宅に帰ると、妻が「今夜は風が強くて火の元が心配だからあちらへ泊っておやりなさい」と言う。

旦那はその言葉に甘え、召使いの権助(ごんすけ)に提灯(ちょうちん)を持たせて供をさせ、夜道を進み女の家を訪ねる。

すると「奥様のご配慮に感激いたしました。しかし、このまま貴方様を泊めては奥様の優しさに甘えてばかりで申し訳ないです。どうか今日はお帰りください」と女。

再び本宅へ帰ると妻から「それでは私の筋も通りません。やはりあちらへ泊まっておやりなさい」と促され、再度行った女の家ではまたしても本妻の元へ戻るよう頼まれる。

 

こうして何度も本宅と女の家を往復しているうちに提灯の火が消えたので、

「おい権助、提灯に火を入れな」と旦那。

すると権助はこう言った。

「大丈夫です旦那さま。もう夜は明けました」)

 

<文字数→約7000/読了目安→約10分>

 

(※この物語はたぶんフィクションです)

 

え~、  本日はいっぱいのお運び、ありがたく御礼申し上げます。

 

また近頃めっきり肌寒くなりましたが、皆様いかがお過ごしでございましょうか。

 

そんな私はといいますと、毎年衣替えを怠けては風邪をひきやすいこの季節。 

 

「今年こそは」と意気込んで服を買いに街へ出るも、気付けば足が向かう先はいつもリリイベ物販。

 

みるみる着膨れするチェキ帳とは対照的に、財布は一年中クールビズでございます。

 

まぁそんな下らない話は置いておいて、皆様におかれましても、風邪やガチ恋で体調やメンタルなど崩されませんよう、季節の変わり目くれぐれもご自愛くださいませ。

 

さて、

 

秋といえば「男心と秋の空」なんてことをよく言いますね。

 

「秋の空」なんて風流な喩えを用いずとも、一年中移ろいやすい男心がありありと見て取れます。

 

しかし、一見浮気を繰り返し女を振り回しているように見えても、本質的な部分では、どこまでいっても振り回されるのが男の常。

 

どんなに時代が変わっても、女が男より二枚も三枚も上手であることだけは、未来永劫変わらない、この世の真理のようでして…

 

 

・・・

 

 

「俺〇〇ちゃん単推しだから!」

 

気付けばそんな都合のいいセリフが口癖になっていたKSDDの下腹(ゲバラ)。

 

控えめに言って、「KSDD」という単語の方がキャパオーバーを起こすほどには節操がない。

 

さながら一流の柔道家が「掴む→組む→投げる」を一連の動作で行うのと同様に、「かわいい→好き→始まった」の3STEPでフ〇ーチェより簡単に出来上がるドブ以下のヲタ活がすっかりライフワークとなっていた。

 

かくしてとある休日のリリイベ物販、文字通りありったけの資産をリリースするべく、今日も今日とて列へ並ぶ。

 

しかしそんな下腹、なにやら今日はめずらしく悩んでいた。

 

「うーん…果たしてどちらを推すべきか…」

 

チキンナゲット3個分の脳みそをフル回転させて苦悩すること約数分。

 

聞いてるだけでMPの下がりそうなスタッフさんのマイクチェックももはやその耳には入らない。

 

それもそのはず、今回見に来た「意地のコンプライアンスガール」通称「意地コン」における、下腹の推しは現在2人。

 

限られた特典券を使いどちらのチェキ列に並ぶかについて、片岡鶴太郎の宣材写真みたいな顔で悩んでいた。

 

さすがに推しを増やすこと自体には今更何の抵抗も覚えなくなった下腹だが、同グループ内ともなると話は別。

 

かつて甘い言葉をかけたメンバーを尻目に別のメンバーにガッつく罪悪感もさることながら、業界随一ともいわれる高レギュレーション接触に両推しのまま通い続けるとなれば、いよいよもって心も財布も悩ましい。

 

巷では「春夏と秋冬で時期ごとに推しを変える」という小細工で巧妙に修羅場を回避しているなんともコスいヲタクもいるらしいが、しかしそこは下腹も男。

 

今日の接触をもって、すっぱりどちらか一人を揺るがぬ「本推し」に選ぼうと、前々より心に決めていた。

 

「いやー、しかし我ながらここまで悩むとはな。こんなこともあろうかと向こう半年分の食費を前借りしてきた甲斐があったってもんだ。」

 

おそらく今後しばらくはパンの耳しか通らないであろう口がニヤリと笑う。

 

財布の中には既にいっぱいの特典券が溢れかえっていたが、尚も買い増しを続ける下腹。

 

そのうち特典券を一人で持ちきれなくなり、どうしたものかと困りあぐねているところに丁度良くヲタ友の虹助が通りかかった。

 

「おぅ、虹助じゃねぇか!こいつぁちょうどよかった。わるいがよ、ちょいと持ちきれなくなっちまったんで、俺が接触を回ってる間、残りの券を預かっててくれねぇか?」

 

『おう、だれかと思えば下腹さんじゃねぇの。いやはや、今日も懲りずに大枚はたいてご苦労なこった。無い袖振ったりペンラ振ったり、遅刻で良番棒に振ったりで年中忙しいねぇ』

 

「やかましいわ!じゃあ悪いが頼んだぞ。接触に興味のない万年無銭地蔵のお前になら安心して預けられるからな。手持ちが無くなったらまた取りにくるから、その都度次の券を手際よく渡してくれよな」

 

『はいはい、あんたはいつもそんなだねぇ。おいらはここで待っててやるから、気の済むまでおやんなさい』

 

「忍びねぇな」

 

『構わんよ』

 

そう言って虹助を残し、颯爽と2チェキの待機列へと向かう下腹。

 

まず並んだのは、意地コンの8頭身歌姫・歌って踊れる健康美「みこぴん」こと「志水美子(しみずみこ)」列。

 

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(※画像はイメージです) 

 

志水美子。

 

スタイルの良さと抜群の歌唱力もさることながら、やや自虐を混じえた親しみある人柄が周囲から愛される人気メンバーである。

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(※画像はイメージです)

 

かつて陸上部で培った真面目さからか、過去にメンバー内で行ったワンマンライブの集客会議では、当時予科生の身の上ながら冗談を言う正規メンバーの先輩達に対し「もっと現実的に考えましょう」と真っ直ぐに提言した。

 


【第1回メンバー会議11月14日】 #0109虹コン川崎征服計画 虹コン

(※動画はイメージです)

 

今は大学生の傍、意地コンファミリー2つ目のグループにあたる「蒼組」のリーダー兼母親的なポジションを務めており、SNSでのマメな告知や話しやすい接触対応などヲタクからの評価も総じて高い。

 

「あぁ…やっぱり"みこぴん"可愛いなあ… 。

歌上手いし可愛いのに地黒を気にしてるギャップが愛おしいよなぁ…。

この会議動画見て一発で惚れて、それがきっかけで蒼組の現場行くようになったんだよなぁ俺…。決めた、俺やっぱりみこぴんを推そう。」

(※このセリフはフィクションです。筆者の感情とはたぶん関係ありません)

 

やはり謎の自己申告が多い限界ヲタク。

 

重すぎる&謎すぎる独り言を呟く様を周囲のヲタクにドン引かれているうちに列は進み、いよいよ下腹の番が回ってきた。

 

みこぴん「あー!下腹さん!ありがとー!」

下腹「みこぴん…オレ…オレ…」

スタッフ「はい撮りまーす」

み「ポーズどうする?」

下「えっ…あ、いや…えっとその」(0.2秒)

 

ーカシャッ!(凡ピース)ー

 

み「ありがとーう!あっちでサイン書くね。行こ!」

下「お、おう…(微メンブレ)」

み「えっとー今日は〇月×日だよね~、」

下「…あ、あのさ、みこぴんっ!」

み「えっ、なに!?ビックリしたw」

下「オレ、今日からみこぴん単推しになるからっ!もう他の子のとこ行かないから!意地コン蒼組の現場に行く最初のきっかけをくれたみこぴんのことだけを、これからずっと推すからっ!」

み「ありがとう…嬉しい…」

下「みこぴん…」

み「でも…『さーりん』はどうするの?」

下「え?」

み「下腹さん最近さーりんとめっちゃチェキ撮ってたじゃん。本当に急に私だけにしちゃっていいの?」

下「んん…それは…」

み「それに同じグループの私が言うのも変だけど、さーりん凄い努力家だし、つらい顔を周りに見せないファン思いのいい子だし、この前の夏ツアーで予科生から正規メンバーへ正式に昇格したこともあって、最近ますます自信がついてどんどん魅力的になってる超注目アイドルだよ。私だけを推してくれるのも嬉しいけど、その前にもう一回さーりんと話してみてから決めた方がいいんじゃない?」

下「みこぴん…実際の特典会じゃまず時間足りないであろう長文ありがとな…分かった。もう一回さーりんと話してから決めるよ。みこぴんは本当にメンバー思いでいい子…」

スタッフ「お時間でーす」

下「おま空気読m(剥がされ)」

 

こうして最初のチェキを撮り終えた下腹。

 

至近距離で見る推しの可愛さに当てられ、シラフなのに千鳥足で虹助の元へ戻る。

 

『おう下腹。どうだい?推しとやらは一人に絞れたかい?』

 

「あぁ虹助、いやね…絞ろうと思って本人にそう伝えたらな、(すぐ結論を出さないでもうすこし考えてみたら?)ってなことを言われちまったんだよ。」

 

『ほほう、そりゃなんとも意外な展開だねぇ』

 

「あぁ、なにせみこぴん本人が(もう一度他メンを回って考えてみたら?)って言うんだ。そりゃそんな簡単にヲタクが出した結論じゃ信じるに信じられねぇもんな。

しっかし、自分のことだけじゃなく常に周りが見えてるみこぴんに、すっかり惚れ直しちまったよ///」

 

『そうかねぇ?単にお前さんに応援って口実で粘着されるのがイヤだから他メンに押し付けたいだけな気がするが…』

 

「よし、もう一度だけ他の子とチェキ撮って、ちゃんと確信を得てから再度みこぴんに言いにいこう。一番好きだって言いに行こう!よし決めた!決めたぞ俺!!!」

 

『ダメだこのバカ聞いちゃいねぇ。おーい下腹帰ってこーい』

 

「あぁ…みこぴん好きだ…みこぴんとデートしたい…みこぴんと一緒に近所のスーパー(ナフコ熱田店)で買い物したい…」

 

『おーい下腹!最近ツイートのおもんない下腹~』

 

「おいやめろ」

 

『なんだ聞こえてんじゃねぇか』

 

「よし、じゃあもう一回行ってくる。虹助、次の券をくれ。」

 

『はいはい』

 

そうして虹助から次の券を受け取り、またも颯爽とチェキ待機列へ戻る下腹。

 

次に並んだのは、意地コンの無自覚風あざカワ・真夏の方言シンデレラ「さーりん」こと「熊本紗莉奈(くまもとさりな)」列。

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(※画像はイメージです) 

 

熊本紗莉奈。

 

日本一カワイイ方言こと博多弁を操る福岡県出身のおっとり系美少女にして、ピアノを通じて培ったリズム感と表現力の光るしなやかなダンスが印象的な人気メンバーである。

 

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(※画像はイメージです) 

 

 2017年1月のワンマンライブでは、自分以外の同期全員が正規メンバーに昇格するなか、一人だけ予科生に残されるという悲劇を味わい、普段見せない張り詰めた感情を吐露したが、その約半年後の8月、夏のワンマンライブで晴れて正規メンバーへの昇格が発表され、ファンと共に喜びの涙を流した。

 

 

(※ツイートはイメージです)

 

今は大学生の傍、みこぴんと同じ意地コン蒼組のメンバーとして活動中。

ちなみに夏の某イベントで水着姿を披露してからはグラビア方面でのファン人気も高騰。

不意打ちの水着画像ツイートの殺傷力は日に日に増すばかりである。

 

「くそぅ…やっぱり間近で見るさーりんは反則級に可愛いなぁ…『チェキるヲタクすべて始まらせるガール』の異名は伊達じゃねぇぜ…それに最初は会話ぎこちないのに何度か通って慣れてくると途端にグイグイくる感じとか本当ズルいよなぁ…涙袋の印象的なあの大きい瞳に上目遣いで見つめられたらもう脳ごとトロけちまうよ…」 

 (※このセリフはフィクションです。筆者の感情とはたぶん関係ありません)

 

「でも俺はもう決めたんだ。ちゃんとこれが最後だって言って、しっかりみこぴんの所に戻ろう」

 

ロマンティックより止まらない自己申告。

 

またも独り言に没頭しているうちに列は進み早くも下腹の番へ。

 

さーりん「あー!ありがとーう!」

下「さーりん…オレ…オレな…ッ!」

スタッフ「はい撮りまーす」

さ「ポーズなにがいい?」

下「あれデジャブ?」(0.2秒)

 

ーカシャッ!(凡ピース)ー

 

 さ「もーう!やっと来た!はい、じゃあサイン書くからあっち行こ!」

ゲ「お、おう…(学習しねぇなオレ)」

さ「えっと、今日は〇月×日だっけ、」

下「…あ、あのさ!さーりんっ!」

さ「えっ、なに!?ビックリしたw」

 下「お、俺…これからみこぴん単推しに…」

さ「え…?(上目遣い)」

下「ウッー(恋に落ちる音)ー」

さ「なぁに?(超上目遣い)」

下「いや…だから、えっと…」

さ「下腹さんはぁ…これから、誰を推すの?(鬼上目遣い)」

下「そ、それは…みこぴ…」

さ「誰を…推すの?(神上目遣い)」

下「さ、さーりんです…///」

さ「さーりんじゃなくて?(阿修羅上目遣い)」

下「さりな…です…///」

さ「よろしい♪」

下「はぁ…可愛さが心臓に悪い…でもやっぱりこうしてさーりんのヲタクしていく方が俺には幸せなのかもしれないな。みこぴんには悪いが俺の居場所はやっぱりさーりんなんだろうな。じゃあこれから単推しとしてよろしく頼むよ」

さ「え、私の単推しになるの?それはもう一回考えた方がいいんじゃない?」

下「え、じゃあ上のキモイやりとり何だったの?筆者ここめっちゃ力入れたらしいけど」

さ「ん~、たしかに私の単推しになってくれるのは嬉しいけど、下腹さんが最初に蒼組に興味持ったのってみこぴんからでしょ?その軸はズラさない方がいいんじゃない?

私もつい癖で本気で落とすようなことしちゃってごめんだけど、みこぴん真面目でいい子だし、ライブ終わりとかいつも一番最初に『今日のイベントありがとうございました』ってツイートするし、フェスとか対バンの時は他グループの子と積極的に写真撮って宣伝がんばってるし、歌割り多く任されて覚える事多いのにラジオやMCやイベントの企画係までこなしてグループや自分以外のメンバーの魅力を一生懸命発信してくれるし、正直私もみこぴんに負けるなら悔いはないかな。だから、一推しはみこぴんにしてあげて。私にはたまに来るくらいでいいから」

下「これまた実際の特典会だったら三行目で時間切れになりそうな長文ありがとな。

たしかにそうだよな。そもそもさーりんの正規メンバー昇格ってドラマに俺が立ち会えたのも、元をたどれば全部みこぴんのおかげだもんな。分かった。俺やっぱりみこぴんのヲタクになるよ。そういえばさーりんこの前のリプ返の内容って…」

スタッフ「お時間でーす」

下「お前わざとやってるだろ(剥がされ)」

 

 かくして二度目の接触を終えた下腹。

 

最終回のジョーより真っ白に燃え尽きて虹助のもとに戻る。

 

『おう下腹、どうだい?結論ってやつは出たかい?』

 

「ん~、話してる途中でさーりんに浮気しちゃって、やっぱりこっちで身を固めようとその意思を伝えたものの、こっちでも(みこぴんはいいの?)と聞かれちまった。」

 

『いよいよブレ方に貫禄すら出てきたね。しかしこれで答えはハッキリしたな。やっぱりお前はメンバー全員から干されt…』

 

「しかしファンをお互い譲り合うなんて、二人ともなんていい子なんだろうな」

 

『おいおいどこをどう誤解したらその解釈にたどり着くんだ。頭が花畑牧場か?』

 

「決めた。やっぱり俺みこぴん推しになる。さーりんにまで応援されちまったらもう後には引けねぇ」

 

『なんでそう自分に都合のいいストーリー組み立てる時だけ早いんだろうねヲタクは。しかもまたこっちの声聞こえてないし』

 

「よし決めたぞ。俺はみこぴんだけを一生推すんだ。俺絶対ゼクシィのCMみたいなプロポーズするからな待ってろよみこぴん…」

 

『おい最近ツイートおもんな…』

 

「おいやめろ」

 

『聞こえてんじゃねぇか。それもまだ全部言ってないのに』

 

「いいから早く次の券よこしな、次こそみこぴんに思いを伝えるんだ…!」

 

『はいはいどうぞ』

 

差し出された券を奪い取るようにして再度列へ。

 

み「あ!下腹さんまたきてくれたの!ありがとーう!」

下「みこぴん…俺…オレ…ッ!」

スタッフ「はい撮りまーす」

さ「ポーズなにがいい?」

下「凡ピースで!」

 

ーカシャッ!(凡ピース)ー

 

み「えっと今日は何月何日…」

下「みこぴぃん!!!」

み「え何!?また急にw」

下「あのな、さーりんとも話したんだけどな、俺やっぱりみこぴんのヲタクに…」

み「そういえばさっき楽屋で『今日下腹さん来てくれるかな~♪』って笑顔で言ってたよさーりん」

下「マジでか俺さーりん推すわ」

スタッフ「お時間でーす」

 

「おい虹助!次の券よこしなッ!俺は一生さーりんと添い遂げるんだッ!」 

 

『はいよ』

 

さ「あ!下腹さんまた来てくれたの?ありがとう!」

 下「あのなさーりん…俺…オレ…」

スタッフ「はい撮りm」

下「凡ピースで!」

 

ーカシャッ!(凡ピース)ー

 

さ「今日は…」

下「〇月✕日ね!…ってそんなことよりさーりんん!!!」

さ「え、何どうしたの?そんなネタブログの終盤みたいな早口でw」

下「俺…俺やっぱりさーりんのことしか見えないよ…ヲタクになってからまだ日は浅いけど…ひと夏であんなにたくさん最高の思い出を作れたのはそこにさーりんがいたからで…だからこれから俺は春夏秋冬さーりんのことだけを…」

さ「そういえばこの前みこぴんが『下腹さんのツイートって本当いつもセンスあって面白いよね』って褒めてたよ」

下「みこぴんしかぁああ!!!」

スタッフ「お時間でーす」

 

「おい虹助!」

 

『はいよ』

 

み「ありがとーう!」

下「凡ピース!」

 

ーカシャッ!(凡ピース)ー

 

下「俺やっぱりみこぴんが…」

み「さーりんが下腹さんのLINEのID知りたがってたよ」

下「さーりんんんん!!!」

スタッフ「お時間でーす」

 

「虹助ェエ!」

 

『はいよ』

 

さ「ありがとーう」

下「せーのっ!」

さ・下・ス「「「凡ピース!」」」

 

ーカシャッ!(凡ピース)ー

 

下「さーりん…いや、さりなッ…!!!」

さ「みこぴんが『今まで会ったヲタクで下腹さんが一番面白い』って。」

下「みこぴぃぃぃん!!!」

 

・・・

 

こうして下腹が人ならざるテンションで特典会スペースを駆けずり回ること数十分。

 

気付くと会場に残ったヲタクは下腹と虹助の二人だけだった。

 

「あぁあもう俺はどうしたらいいんだ!次はみこぴんに行くか!それともさーりんに行くか!もう悩み過ぎて頭が割れそうだ!」

 

『安心しな下腹。もう悩む必要はねぇ』

 

「おう虹助!そいつぁどういう意味だ?まさかお前、新しい俺の推され情報でも掴んだんじゃ…」

 

『いや、もう券が枯れた。』

 

【終】

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